NY目指した中野ブロードウェイ なぜオタクの聖地に編集委員 小林明

前回は東京・中野駅周辺の再開発計画について取り上げたが、「オタクの街・中野」といえば、やはり「中野ブロードウェイ」が有名だ。

かつては銀座と競う「高級ファッションビル」だった

1966年に開業したという高級マンションと商業施設を併設したユニークなこの建物。当初は歌手の沢田研二さんら多くの有名人が暮らし、銀座と競うほどの「高級ファッションビル」だったという事実をご存じだろうか?

では、いつ、どんな理由で「サブカルの聖地」に変貌を遂げたのか?

そもそも施設内部の構造や状況はどうなっているのか?

様々な謎を追いかけているうちに、戦後の経済成長や首都圏の沿線開発を巡る意外な歴史が浮かび上がってきた。今回は中野ブロードウェイの意外な横顔について紹介しよう。

日本最大の繁華街、新宿からJR中央線快速で約5分の位置にある中野駅。北口から真っすぐ北に伸びる商店街「中野サンモール」を200メートルほど歩くと、中野ブロードウェイの南側の入り口が見えてくる。

今は全体の4~5割以上がサブカル系店

入ってすぐ右手にあるのが中野ブロードウェイの象徴、漫画古書販売「まんだらけ」が今年5月に開いた新店舗。ゴジラなどのフィギュア(写真1)や映画のポスター(写真2)、スタジオジブリのキャラクター商品などが次々と目に入る。

1階はカードショップ、メイドカフェ(写真3)などの店舗が、薬局、カメラ店などに交じってチラホラと目立つ程度だが、2階から上に移動するとサブカル色が一気に強くなる。

「まんだらけ」がジャンルごとに計23店を営業しているほか、アニメ、漫画、コスプレ、着せ替え人形、プラモデル、ミニカー、中古の本・CD・DVD・楽器、鉄道関連、特撮、ゲーム、アイドルの写真集、ミリタリーグッズ、音響・映像機器、玩具などを扱う店がびっしりと軒を連ねる。

「地下1階から地上4階までの商業ゾーンに入居している店が約320。そのうち4、5割以上がサブカル系の店ですね」。中野ブロードウェイ商店街振興組合の理事長、青木武さんはこう説明する。

ところが、開業した1966年当時は全く異なる雰囲気の商店街だったそうだ。

写真1 「ゴジラ」のフィギュア
写真2 映画「続愛と誠」のポスター
写真3 メイドカフェ


次のページ
東京五輪の開発ブームに乗って誕生