2012/6/17

ブームの予感(日経MJ)

小説「数学ガール」4巻で15万部

コミック版「数学ガール」やムック「宇宙女子」は堅調な売れ行き

理系女子を格好良く描く小説やコミックも人気を集めている。数学の天才少女が主人公のライトノベル「数学ガール」は計4巻の累計発行部数が15万部となり、計6冊のコミック版は累計発行部数が23万部となった。3月に発行されたムック「宇宙女子」は宇宙関連の仕事に就く理系女子を扱う。理系の能力が高い少年少女を扱った「理系の子」(文芸春秋)はノンフィクションだ。3月の発刊から累計発行部数は1万3千部となった。化石から古代の房総半島の環境を研究、国際学生科学コンテストで上位に入賞した千葉県の女子高校生を取り上げた。

こうした書籍の読者には「『(数学が得意な)主人公のようになりたい』と理系を志す女性読者もいたようだ」(「数学ガール」コミック版発行元のメディアファクトリー)。ただ、比率では男性読者の方が多いとみられ、理系女子に憧憬のまなざしを向ける男性の存在も透けてみえる。

理系女子を特別な存在とみる社会的な風潮は徐々に薄れている。総務省の科学技術研究調査によると、11年3月末時点で、女性の研究者は12万3200人となった。全体に占める女性比率も、3割超の米国などには及ばないが、13.8%で過去最高だ。理系女子の活躍が科学技術立国・日本が輝きを取り戻す契機になり、新しい市場を生み出すかもしれない。(戸田健太郎)

[日経MJ2012年5月30日付]