いまどきの若者、転職組の挑戦 意外と大胆で冷静

この施設は閉鎖されていた廃屋を再生し、芸術家の作業所などとして活用するもの。西田さんらを中心に、多くの人が建物のペンキ塗りや修繕などをしてきた。すでに複数の利用者が入居、地域活性化の拠点として期待は高まる。

廃屋を活用したアートスペースを作った西田さん(中)、金子さん(右)ら(千葉県富津市)

西田さんはデザイン会社勤務のデザイナーだった。美術家の活動支援の仕事をしたいと思い、その勉強のため英国留学を考えていた。そんな折、カナヤベースの構想を聞き「悩んだが、まずは座学よりも実務で学ぶ方を選んだ」。

自分の尺度を持つゆとり世代

金子さんの前職は人材派遣会社での採用担当。30歳までには学生時代から勉強してきた地域再生プロジェクトに取り組みたいとの思いがあり退職を決意した。「地元のおばあちゃんが『野菜は干したほうがうま味が増すよ』などと教えてくれる。世代を超えて語り継ぐことがたくさんある」

ニッセイ基礎研究所の久我尚子研究員は「ゆとり教育世代で、自分の尺度を持っている。時に個人主義とも映るものの、自らの道を冷静に選ぶ意識が強い世代」と見る。中高年世代は自らの転職などには及び腰になりやすい。一方で若い世代の転職には「我慢がきかない」と決めつけがちだが、それだけでは実態を見誤ることになりそうだ。

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生涯収支1100万円赤字 生活の満足度は高く

日本の年齢別総人口(2011年10月時点)を見ると、60歳は192万人いるのに対し、30歳は2割強少ない150万人、20歳は同4割弱少ない121万人にとどまる。若者世代は同世代間の競争は相対的に緩やかな半面、社会保障の負担などで割を食う世代でもある。

一橋大経済研究所の小黒一正准教授の試算(08年時点)では、生涯の税金や社会保険料などの負担と、年金や医療・介護などの形で政府から受け取る受益を比べると、当時の60歳以上は約4000万円の受け取り超過となった。これに対し、同20歳代は約1100万円の支払い超過だった。

一方で、内閣府の調べによると、若者世代は現在の生活に対する満足度は40代などよりも高い。単身者が多く可処分所得の多くを自分のために使えるうえ、友人などとの交遊が比較的充実していることなどが影響しているとみられる。ただ、ニッセイ基礎研の久我研究員は「現在の生活に対する満足度が高い一方で、年金や雇用など将来への不安度も高いのがこの世代の特徴だ」とも指摘している。

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