しまなみ海道といっても、自転車で高速道路(西瀬戸自動車道)の脇を走るのは、橋上の10キロ足らずで、それ以外は大島、因島などの主に県道を走行する。
専用自転車道ではないので、以前は途中でルートを間違えたサイクリストから不満が出ていたが、今春までに尾道市と今治市がメーンルート沿いに青い線を引き、最終地点までの距離も表示した。このブルーラインをたどれば、最短距離で楽に瀬戸内海を渡ることができる。
今治駅前を出発して30分ほどで1番目の架橋、来島海峡大橋の入り口に到着する。初心者にとって最初の関門がここ。
■汗も吹き飛ぶ海上80メートルの眺め
橋が海面から80メートル、陸上の道路からでも50メートルの高さにあるため、急坂のループ道を上る必要がある。これは他の橋でも同様で、海の上を走るには避けられない試練だ。
橋を渡るには自転車でも通行料がかかる。来島海峡大橋だけで200円、今治から尾道まで行くには計500円が必要。
「自転車道に通行料がかかっては、サイクリストの聖地になり得ない」という思いから、自治体から地元選出国会議員まで巻き込んで、国土交通省などへ通行料の無料化を何度も陳情した。
その結果、今年初めてゴールデンウイークから5月末までの土日休日限定で無料化が実現。今は再び料金を徴収しているが、愛媛県は来年度の政府への重要施策要望に完全無料化を挙げている。
橋には自動車レーンの脇に自転車道が設置され、快適に走れる。来島海峡の3連橋からは大小の瀬戸内の島々、白い波を立てて行き交う船、渦を巻く潮の流れなどが走りながらも眺められ、至福のひとときだ。
今治側から最初の島が大島(今治市)。ブルーライン沿いに走ると7キロほどで、ルート中最大の峠越えとなる。ギアを一番下まで落としても、ひざはガクガク。レンタルのママチャリやロードバイクは、ほとんどの人が降りて押している。
ここでちょっと遠回りして、島内をのんびり走るのもよい。大島には今が盛りのよしうみバラ公園や、戦国時代に活躍した村上水軍に関する今治市村上水軍博物館など見どころも多い。