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企業の子育て支援、制度に甘えず成果出して 夫にも育児講座、早期復帰で加算金

2012/5/29

■復帰セミナーに上司も同席

損害保険ジャパンは育児休業者を対象としたセミナーにその上司の参加を09年に義務付けた。復帰後の働き方・心構えなどを説く内容だが、直属の上司も同席させることで復帰した以上、しっかり働いてもらうという共通認識を根付かせる。子育て中となると上司は気兼ねしがちで、軽めの仕事を任せたりする。それが本人のやる気をそいだり、甘えにつながったりする恐れもあるからだ。

なんのためのワークライフバランスか――。丸紅は10年に根本から問い直した。生活重視で仕事はそこそこを認めるのか。06年に子育て支援策を拡充して以降、社内で疑問や不満が高まった。労使で話し合い、ワークライフバランス推進の目的は「会社と社員双方が働く環境を整え、社員の『会社への貢献』を極大化する」ことだと定め、会社に依存する働き方を否定した。

目的の明文化と同時に育休などから復帰する社員を対象に復職前面談を導入した。自らも子育て中の人事部の女性社員らが一対一で面談。体験談を交えて個々の事情に合った働き方を一緒に考える。ときには「近隣に公的な支援サービスがありませんか」「保育園への送りはご主人にお願いしてみては」などと辛口の助言もし、制度の使いすぎにブレーキを掛ける。

父親が育児に協力的な欧米やベビーシッターが安く雇えるアジアと違い、日本は保育園さえ不足し、働きやすい環境ではない。コンサルタントのパク・スックチャさんは「そんな特殊事情は理解できるが、会社も働く側も日本の現状は甘い」と指摘する。

パクさんは米国で経営学修士(MBA)を取得、外資系企業でアジア地域の人事労務を担当していた。「海外では成果が出せないならば制度に甘えることは許されない。制度をフルに使えば自らのキャリアアップの機会も狭まる。将来を見据え戦略を立てることが重要だ」と指摘する。(編集委員 石塚由紀夫)

◇     ◇

■企業にとって重荷の可能性も

今年7月から3歳未満の子どもを持つ社員はだれもが短時間勤務(1日6時間)ができるようになる。短時間勤務は2010年に育児介護休業法が改正され、企業に義務付けられた。当初従業員数100人以下の企業は適用外だったが、猶予期限が6月末で終了する。

独立行政法人の労働政策研究・研修機構(東京都練馬区)主任研究員の池添弘邦さんは「制度の充実は良いことだが、日本の法制度は個々の職場の状況をくむ仕組みが乏しく、企業にとって重荷になりかねない」と指摘する。

多様な働き方の実現は仕事と生活を両立する重要なカギだ。先進国でも短時間(パート)勤務を認める法制度はある。ただ英国の弾力的勤務制度などは申請権を認めているものの、職場と本人が面談・交渉して取得の諾否を決める。一律に制度利用を認めては職場が立ち行かなくなる可能性があるからだ。話し合いの中で妥協点を見いだし、双方にメリットがある働き方を実現する。

「利用を拒めない硬い制度だと、将来の面倒を避けようと女性が職場から阻害されやすい。話し合いを通じて職場単位の創意工夫を引き出せる仕組みが望ましい」と池添さんは主張する。

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