2012/5/9

アート

異分野の扉を開く

アートフェア東京エグゼクティブ・ディレクターの金島隆弘さん

続いて話をしたのは、金島さん。今年3月30日から4月1日に東京国際フォーラム(東京・有楽町)で開いた美術見本市「アートフェア東京2012」ついて説明した。国内外の160軒以上のギャラリーが古美術から現代アートまで様々な美術品を展示即売し、入場者は5万3千人を超えた。

「アートを開く」をテーマに今回のフェアを統括した金島さんは、都市や地域、アジアに対して開かれた国際的なイベントを目指したという。「今回はさらに産業に向けて『開く』ことを意識し、ファッションや食、教育など、ほかのクリエーティブ分野と連携したアートプロジェクトを新たに展開した」。具体的には、オブジェのように個性的なコンテンポラリージュエリーのコーナーを設けたほか、歌手のレディー・ガガも愛用するファッションブランド「SOMARTA(ソマルタ)」がブースを出した。

レディー・ガガも愛用するファッションブランド「SOMARTA」も出展(c)アートフェア東京2012/撮影:岩下宗利
カフェSUNDAY(東京・三宿)では「アート@レストラン」と連携し、食とアートを楽しむ空間を提供

また、個人コレクターが所蔵する現代アートを会場近郊のレストランに展示する「アート@レストラン」では、食とともにアートを楽しむ空間を作った。関連企画として、日経東京本社のスペースニオアートギャラリー(東京・大手町)でも2人のコレクターの所蔵品を展示した。

「現代アートと異分野、異業種を掛け合わせることで、今までとは違う客層やメディアから好意的な反応があった」と金島さん。「ライフスタイルが多様になる中、アートは人をつなぐコミュニケーションツールになり得る。同じ時代を生きるアーティストの作品が、新たな世界の扉を開いていく」と説明する。

会場は大勢の人がつめかけた(c)アートフェア東京2012/撮影:岩下宗利
ツアーも実施した(c)アートフェア東京2012/撮影:岩下宗利
コンテンポラリージュエリーを扱うgallery C.A.J.のブース(c)アートフェア東京2012/撮影:岩下宗利

ブランドのイメージを表現する

フィアット グループ オートモービルズ ジャパン マーケティング本部長のティツィアナ・アランプレセさん

最後に講演したのは、フィアットのアランプレセさん。自動車会社のフィアット グループ オートモービルズ ジャパンは、現代アートと連携したプロジェクト「THE DRIVE ART」を進めている。日本人アーティストたちが自動車アルファロメオ・ジュリエッタに試乗し、その体験を作品に表現する。フラワーアーティストの東信さん、ロボットデザイナーの松井龍哉さんのほか、現代アーティストやギタリスト、陶芸家など様々な分野で活躍する13組が参加。特設サイトに毎月1人ずつ登場し、写真や映像で作品を見せる。作品は公募もしており、2013年には展覧会が開かれる予定だ。

東信「Flowers for Giulietta」2012年、素材:生花、技法:ビデオアート

このプロジェクトを通し、アランプレセさんは「アートによってブランドが持つ創造性やファッション性、情熱を表現できる」と感じているという。「日本でも世界でも景気が悪いとすぐ文化的な予算がカットされるが、それは大きな間違い。そういうときにこそ、自由で創造的なアートが、経済にも心の健康にもよい影響を与える」と話した。

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