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なぜ大阪にはこんなに寺が多いのか

2012/5/5

大阪市内を歩いていて、1キロ以上にわたって寺院の甍(いらか)の波が続く地域があるのに気づいた。ざっと数えて数十の寺院が門を構えている。住所標記をみると「天王寺区下寺町」。聖徳太子にゆかりの深い四天王寺にも近い。そういえば大阪府は京都府や奈良県より寺院が多い、と聞いたことがある。なぜ大阪には寺院が多いのか、歴史背景を調べてみた。
上町台地の西側に寺が並ぶ下寺町界隈(大阪市天王寺区)

■約80の寺が密集

「下寺町を含む南北1400メートル、東西400メートルのエリアに約80のお寺さんが集中しています。府内では随一、全国でも珍しい寺町ですよ」。天王寺区役所に尋ねると、森茂樹・まちづくり担当課長代理がこう教えてくれた。

寺院が集まり始めたのは16世紀、豊臣秀吉が大阪城を築いた時期という。城のある場所にはかつて、織田信長と対立し激しく争った石山本願寺があった。同寺は難攻不落の“砦(とりで)”として10年以上、合戦に耐えたが、地形から南側の守りが手薄だった。

森さんによると「大阪城を築く際、大阪各地の寺をここに移転させて防壁代わりにした、との説があります」。寺の堂宇のような高い天井が弓の取り回しに欠かせなかったといい、江戸時代になっても寺の移転と集積は続いた。

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「一帯が古来、聖地だったことも背景にあるようです」と話すのは下寺町の古刹、大蓮寺の秋田光彦住職。周辺には四天王寺のほか浄土宗開祖の法然が住んだ一心寺など要地が多い。寺院を説得して移転させるのに、うってつけの場所だったわけだ。

一帯はかつて近くまで海が迫り、台地状の地形と相まって夕日の名所だった。浄土信仰が広がった平安末期以降、夕日を眺めて西方浄土を思い描く修行「日想観」が広まり、大阪湾や六甲の山並みに沈む夕日を求め多くの人が集まったという。

秋田住職は「大阪は商都とされますが、実は古くから一大宗教都市だったのですよ」と指摘する。現在の大阪の街は、石山本願寺の寺内町から発展したとされる。宗教都市としての面影は、今も寺院の数に色濃く残っている。

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