大学出ても仕事がない 新卒無業の春

春は新しい生活が始まるシーズンだ。だが厳しい経済状況を反映し、今春も多くの若者が就職先が決まらないままに大学を卒業した。新卒採用市場は回復基調にあるものの、いまだ低水準。スタートでつまずき、将来展望を描けない不安が新卒無業の春を覆っている。

パソナの既卒者向け研修。社会人としてのマナーや心得を厳しく指導する(東京都千代田区)

大学卒業したが就職決まらず

自宅から東京都心の大学まで往復の電車賃は1160円。通学定期がないと思いのほか費用がかさむと山本正史さん(仮名、22)は今痛感する。今春大学を卒業したが就職が決まらず、活動を続ける。大学就職部に情報収集に行かなければいけないと分かっていても足は遠のく。「交通費は貯金から出す。いつまでこの生活が続くか分からず、節約もしなければ」

得意な英語を生かしたくて商社や物流会社を志望し、3年秋から就職活動に取り組んだ。だが夢はかなわず内定ゼロ。連戦連敗で自信も失った。「もう業種や職種にこだわりはない。とにかく働きたい。でも自分にできる仕事があるのか」

「今の時期、企業は来春の新卒採用に目が向いていて、既卒は相手にしてくれない」と村田靖さん(仮名、23)は表情を曇らせる。金融機関を中心に約30社に志望書を送ったが、採用通知は最後まで届かなかった。家族と同居。弟もいて、いつまでも親に負担は掛けられない。就職活動の傍ら、日払いの派遣業務で日当を稼ぎ、その半分を生活費として家に入れる。「就職できたらすぐ働きたいので、飲食店など継続的に働くバイトはできない」と嘆く。

大卒内定率は過去3番目の低さ

2012年大学卒の就職内定率は80.5%(2月1日時点)。前年同期比3.1ポイントの上昇だが、過去3番目に低い。就職コンサルタントの上田晶美さんは「学校基本調査によれば昨年は約10万7千人(アルバイトなど一時的な仕事に就いた者を含む)が未就職のまま卒業した。改善の兆しはあっても厳しさは同様。今年も10万人弱が就職先が決まらないままに卒業したとみられる。日本では新卒で就職できないとリカバリーが難しい」と話す。

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大学、既卒者対象の就職支援を強化
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