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大阪の地下鉄ホームに百葉箱のナゾ 「列車風」遮り計測78年

2012/4/14

大阪市営地下鉄の駅のホームに、古びた百葉箱が置いてあるのが気になっていた。空調管理のため温度や湿度を計測するなら、近代的なセンサー類の方がいいのではないか。学校の校庭などで見かける昔ながらの百葉箱が現在もなぜ残され、どんな役割を果たしているのか、調べてみた。

百葉箱の中にある温度と湿度の計測器を点検する交通局職員(地下鉄御堂筋線の淀屋橋駅)

大阪市交通局に聞くと、百葉箱は御堂筋線の梅田駅や淀屋橋駅など8駅のホームに設置してある。「初めて設置したのは淀屋橋駅で、1934年(昭和9年)。それから78年間、駅の温湿度を測り続けてきました」。同局電気部の藤原善久係長が教えてくれた。

■センサーよりも高精度

内部には現在、温湿度のデジタル計測器が据え付けてあり、自動でデータを記録。半年に1回、職員が回収している。3年前までは温度計、湿度計ともアナログ式で週に1回、データを回収する必要があった。約80年間に及ぶ計測データは、大阪市公文書館に保管されている。

「駅構内には列車による強い風が吹きます。正確に計測するには、確実に風を遮って安定的な環境をつくり出す百葉箱でなければ駄目だったのです」と藤原さん。天井などにセンサー類も取り付けてあるが、最近まで百葉箱で計測した方が精度が高かった。

こうしたデータは、換気や冷房で効率的に駅構内の環境を整えるため活用されてきた。例えば淀屋橋駅のホームの8月の平均温度は、百葉箱を設置した直後の35年は約23度だったが、60年には約33度に上昇。蒸し風呂状態になった。

蓄積した気温などのデータをトンネル工学の専門家らと分析したところ、列車本数や利用者の急増が環境悪化を招いたことが判明。換気はどれくらい必要なのか、空調装置を導入するならどの程度の機能が必要か――。問題解決に、百葉箱の計測データは不可欠だったという。

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