旅行・レジャー

京都ここだけの話

「よろしおすな」の本当の意味 知らないと恥かく京都の言い回し

2012/3/29

「京ことば」の印象はどうでしょう? 特殊な語彙(ごい)やイントネーションに関心が向きがちですが、会話にあらわれる人間関係を読み解くことが何より大切です。

【登場人物】
東太郎(あずま・たろう、30) 中堅記者。千葉県出身。人生初の「関東脱出」で京都支社に転勤し半年。不機嫌になると「バカ」が口をついて出るのが常。いまだ「アホ」をうまく使いこなせない。
竹屋町京子(たけやまち・きょうこ、25) 支社の最若手記者。地元出身、女性ならではの視線から、転勤族の「知識の穴」を埋める。東京出身の友人に「京子ちゃんの柔らかい口調が好きなの」と言われ、まんざらでもない。
岩石巌(がんせき・いわお、50) 支社編集部門の部長。立場上、地元関係者との交遊も広く、支社で一番の「京都通」を自任する。関西ローカルの深夜バラエティー番組に少しずつハマっている。(登場人物はフィクションです)

■ぶぶ漬け伝説の教訓とは…

東太郎 部長、取材先の社長の自宅に行ってきたんですが、ちょっとトラブルが……。

岩石部長 珍しいな、君が慌てるなんて。いったいどうしたんだ?

太郎 社長が帰宅するまでいつものように家の外で待っていたら、奥様が「お茶でもいかがですか」と自宅に上げてくれたんです。軽食までいただいたんですが、後で社長に「ずうずうしいな」と叱(しか)られまして。

竹屋町京子 あら、東先輩。断りもせずに上がりこんだんですね。

太郎 いやいや、さすがの私も「今日は社長も遅そうですし、帰った方が良さそうですね」とは言ったさ。そしたら「ビールでもお飲みいただこうと思ってたんですが」と返されたものだから、つい……。どうしても裏を取りたいネタもあったし。

京子 京都には有名な「ぶぶ漬け」の逸話があるじゃないですか。ぶぶ漬けを出されたら「お引き取りください」というサインだという、あのたぐいの話ですよ。人様の家を訪問する際は、気を付けるべき点がたくさんあるんです。

部長 救いがたい厚かましさだな。記者として積極的にネタを追う姿勢だけは評価してやるが。

太郎 もちろん、ぶぶ漬けの逸話も知ってはいましたよ。ただ、いろんな話に尾ひれが付いた伝説だと聞いていたんです。京都に住んでいる友達も「あんな話は迷信だ」と言ってたし。

歴史都市・京都では、多くの伝統的な慣習や言い回しが根付いている(写真中央の建物がJR京都駅)

部長 君の言うとおり、今ではあまり出くわさない場面なのも事実だな。京都の外から越してきた移住組も多くなったし、若者はあまり使わないしな。

京子 でも、急な来客にはぶぶ漬けを出してさっさと帰ってもらう習慣は現在でも一部に残ってますよ。それに繊維問屋が集まる室町あたりでは、アポイントメントを取って来た客に早く帰ってもらいたいときにはホウキを立てることもあるって、聞いたことがあります。

部長 まあ今では、ぶぶ漬けでなくてお茶だろうけどな。ある転勤族の失敗談だが、訪問先の会社で「お茶もう一杯いかがですか」と言われたので「では、お願いします」と待っていたら、なんと20分後に出がらしのお茶が出て来たそうだ。

京子 そのときの「もう一杯いかが」は「そろそろ帰ってくださいね」をやんわり伝えたんですよね。実際にお茶の用意をしているわけじゃないんです。

部長 相手や状況によって同じ言葉でも意味するところが違う場合があるから、文脈によく気をつけることだな。東君のように「お茶でも」と家に上げてもらったケースも、「2回目までは断って、3回誘われれば上がってもいい」と解説する人がいるな。

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