ティファニーの赤い路地、昭和レトロ裏通り… 夜の銀座を探検

銀座、路地裏にも奥深さが…

ティファニー本店の横でひそかに赤く光る狭い道、ビルの中の通路がいつしか路地に変わる一本道……。夜、東京の銀座をそぞろ歩きすることがあるなら、会話の小ネタにも使えそうな「不思議スポット」を知っておくのも楽しいだろう。この街をよく知る照明デザイナー、東海林弘靖さんにナビゲーターをお願いし、探検に繰り出してみた。

4丁目、女性が美しく見える街路灯

化粧や肌の色がきれいに見えるという銀座の街路灯

「女性と待ち合わせるなら、銀座のこの街路灯の下が一番ですよ」。午後6時過ぎ、銀座4丁目交差点の和光の前で、東海林さんは話す。アラスカのオーロラからサハラ砂漠の月光まで、世界中の不思議な光を訪ね歩いてきた東海林さんは2000年に銀座にオフィスを構えた。以来、「ナイトライトツアー」と銘打ち、仕事仲間とこの街を探検している。女性との待ち合わせに銀座の街路灯が向いている理由とは――。

「メタルハライドランプといって、化粧や洋服の色、肌の色をくっきり見せてくれるランプを使っている」。こう言って、やおら取り出したのは、赤や青の色を並べた紙。和光前の街路灯にかざしてみると、確かにどの色も美しく鮮やかに見える。ほかの街の街路灯では、せっかくの口紅もアイシャドーもくすんで見えることが多いとか。大人の街・銀座はこんなところにもこだわっていた。この街路灯は、百貨店やブランドショップが並ぶ中央通り(銀座通り)に続いている。

2丁目、赤いランプの幻想空間

赤いランプの光がきれいな不思議な空間
英国屋銀座二丁目店(左)とティファニー銀座本店の隙間に、赤い小道の入り口が・・・

夜の中央通りは、どのビルも華やかな光の衣装をまとう。だが、東海林さんがいちばん気になる光のスポットとして案内してくれたのは、ティファニー銀座本店と英国屋銀座二丁目店の間にある、幅わずか1メートルほどの暗がりだった。昭和初期、作家の永井荷風は、銀座の恋物語「つゆのあとさき」(1931年)を執筆した。舞台になったカフェは、ちょうどこの辺り。ヒロインの女給・君江は「人ひとりやっと通れる」路地を通って赤いランプのカフェに出勤している。そんなことを連想させる暗がりに踏み込むと、通行に便利なように、奥のビルの上部から赤いランプの光が差し込んでいる。かすかな赤い光が、路面の凹凸を反映してまだら模様をつくり、幻想的な異空間になっていた。

裏手に出ると、すぐ先にレトロな洋館があり、タイムスリップした気になる。洋館は、1930年にできたヨネイビルディング。少し歩くと、1932年完成の奥野ビル(旧銀座アパートメント)もあった。荷風がカフェに通った頃のまま、手動式の二重扉のエレベーターも動いている。現在は、画廊などが多く入っているという。