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鮨、寿司、鮓、すし…… スシの表記なぜ違う?

編集委員 小林明

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日本を代表する食べ物として、まず頭に浮かぶのが「すし」である。だが、店名が入ったのれんや看板を眺めているうちに、妙なことが気になってきた。

鮨、寿司、寿し、鮓、すし、スシ……。店によって表記が様々に異なっているのだ。

それぞれの意味に何か違いがあるのだろうか?

そう思って取材を進めると、意外な歴史や実態が浮かびあがってきた。そこで今回は、「すし」の表記にまつわるウンチクについて紹介する。

バラバラな表記

「全国各地で店ごとに様々な表記が混在しています。都道府県ごとの組合の名前の表記を見てもバラバラですね」。業界団体の全国すし商生活衛生同業組合連合会(全すし連)ではこう話す。

例えば北海道。「北海道鮨商生活衛生同業組合」という名称で「鮨」を使っている。

次に東北を見ると、秋田と山形が「鮨」、青森と岩手と福島が「すし」、宮城が「寿司」。

関東では、群馬と埼玉と東京と神奈川が「鮨」、茨城と千葉が「すし」、栃木が「寿司」という具合。たしかに都道府県ごとの表記がバラバラなのが分かる(表1=国内47都道府県のうち組合のある42都道府県を表示)。

ちなみに42都道府県(奈良、和歌山、高知、佐賀、沖縄を除く)のうち最も多い表記は「鮨」で20。次いで「すし」で17、「寿司」で4、「鮓」で1の順に多い。

もちろん、これらはあくまでも組合名の表記についての話。

都道府県ごとに会員の店の表記をさらに調べると、「○○鮨」「△△寿司」「すし□□」「××寿し」など、実に多様な表記が混在している実態が浮かび上がってくる。表記はバラバラで統一されていない。

どうしてこんな状態になっているのだろうか?

「どうやら、表記の分布はすしの歴史と関係があるようです」

漢字研究で知られる早稲田大学の笹原宏之教授がこう教えてくれた。店名などから、それぞれの店の考え方や歴史を読み取ることができるらしい。

そもそも「すし」の語源は、酸っぱいという意味の「酸(す)し」という言葉に由来する。当初、日本では塩漬けにした魚や飯を発酵させた自然の酸味で食べる「なれずし」や「箱ずし」などのことを表し、「鮓」や「鮨」という文字が使われていた(これらは古代中国では魚の酢漬けや塩辛などを表す言葉で、奈良時代から正倉院文書や木簡などにも見られる)。

特に「鮓」は、「なれずし」や「箱ずし」の伝統が残る関西など西日本を中心に比較的多い傾向があるという。

すし店に多いのは「寿司」

笹原教授の調査によると、国内のすし店のうち、最も多いのは「寿司」(52.1%)、次いで「寿し」(26.6%)、「鮨」(20.5%)、「鮓」(0.9%)。その分布を調べると、「鮓」は圧倒的に西日本に集中しており、一方の「鮨」はどちらかというと東日本に多い傾向があるそうだ。

「なれずし」「箱ずし」の「鮓」、鮮魚を握る江戸前ずしの「鮨」――。こんな大まかな"分類"がぼんやりと見えてくる(「江戸前鮓」という表記は珍しい)。

「寿司」は、幕末から明治以降、縁起がよいとして使われるようになった当て字とされる。また「司」の代わりに、長く伸びた平仮名の「し」を使う「寿し」という表記も普及するようになった。

以上が、すしの表記と歴史の大きな流れである(表2)。

このように「すし」の表記は時代とともに刻々と変化してきた。

愛知の組合は「鮓」を「すし」に変更

ちなみに、愛知県すし商生活衛生同業組合は2002年に表記を「鮓」から「すし」に変更したという。それまでは、大阪とともに伝統的な「鮓」の表記を掲げてきたが、看板から「鮓」の字を外したのだ。

理由は「様々な表記が混在しているので、加盟店がどんな表記でもくくりやすいようにしたかったから」。回転ずし店チェーンの台頭などを背景に、最近は業界を取り巻く環境が激変しており、地域によっては格式の高い「鮓」という表記が全体の趨勢(すうせい)になじみにくくなっているのかもしれない。

"方言"のような表記の地域特性はほかにもある。

えび、なぜ日本では「海老」と表記?

たとえば、「えび」の表記も興味深い。

鰕、蝦、海老、蛯……。

様々な種類があるが、中国ではもともと「さかなへん」の鰕を使い、それが今では「むしへん」の蝦を使うように変わってきた。中華料理店のメニューで「蝦チリソース」などの表記を目にすることがあるはずだ。

一方、日本では、「えび」を「海老」と表記することが多い。

なぜだろうか?

「ひげのような触覚があり、腰が曲がっているので、えびは海の老人のように見える。長寿の象徴で縁起がよい」。日本人はこう考え、「海老」という文字を当てはめたらしい。つまり、「鰕」や「蝦」よりも「海老」の方が日本人の感性に合っていたわけだ。

やがて、日本人はこれを「蛯」という一字に短縮した。

「おそらく老人という意味を残しつつ、中国に倣って『むしへん』にしたのではないか」。笹原教授はこう想像を膨らます。

北海道や東北に広がった「蛯」

この「蛯」という字は、江戸時代以降、北海道や東北を中心に東日本に広がり、料理のほか、地名や名前など、様々な場面で使われるようになった。

実際、北海道では「ボタン蛯」「蛯天丼」などの表記をよく目にするという。

もし、あなたの身の回りに、「蛯」という字をよく使う人や、名字に「蛯」がつくような人がいたら、北海道か東北の出身かもしれない。

蛇足をもうひとつ。

「蛯」がつく名字といえば、モデルの蛯原友里さん(エビちゃん)が有名。

ところが、エビちゃんは九州の宮崎出身で、東日本出身ではない。

なぜだろうか?

実は、これにもちゃんとした理由がある。

「江戸時代、『蛯』がつく名字の人が関東から宮崎に多く移り住んだ形跡がある。だから、西日本では例外的になぜか宮崎に蛯原さんという名字が多い」。笹原教授はこう説明する。

「えび」の表記から、そんな歴史も見えてくるわけだ。

表記の地域特性や歴史は、時代とともに変化してきた貴重な日本の文化ともいえる。大切にしたいものだ。

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