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中学生の歌がチャート入り 希望を届けた復興ソング

2012/3/15

名曲の仲間入りをした歌、今までと違う輝きを得た名曲……。東日本大震災を境に、新たな脚光を浴びているメロディーがある。人の心と音楽のつながりが改めて問い直されるなか、被災地の人々、被災地を見守る人々に希望を届ける作品、音楽家を追う。

仙台市立八軒中学校吹奏楽・合唱部

個性的なアーティストが並ぶオリコンのインディーズ音楽チャート。2月27日付の同チャート週間シングルランキングの14位に異色の名前があった。「仙台市立八軒中学校吹奏楽・合唱部」――。被災地の子どもたちが奏でる合唱曲「あすという日が」(山本瓔子作詞、八木澤教司作曲)が感動の輪を広げ、とうとう上位入りを果たしたのだ。

「あすという日が」は昨年3月19日に福島市で開かれる予定の「声楽アンサンブルコンテスト全国大会」で八軒中学校吹奏楽・合唱部が歌うはずだった曲。大震災のため大会は中止に。同中の校舎自体が避難所として4月12日まで使われる中、部員たちが奏でた「あすという日が」は被災者100人に希望を与えた。その模様がテレビで紹介され、昨年7月には復興応援プロジェクト「シング・オール・ジャパン」の自主制作盤として発売された。大みそかのNHK「紅白歌合戦」でも夏川りみ、秋川雅史のデュエットで歌われるなど、大震災後を象徴する名曲の仲間入りをした。

同曲はそもそも震災前の2006年に作られた。「いま 生きて いること」を「なんて なんて すばらしい」と歌い、「あすと いう日が くるかぎり」「自分を 信じて」「しあわせを 信じて」と結ぶ詩はそのまま、大震災に遭い、愛する人々や土地を失った人々の心に響いた。今年2月末、日本コロムビアがコンピレーションCD「LIGHTS OF LIFE~明日のために」に同じ音源をそのまま採用したことで、さらに多くの聴衆を得ることになった。

震災をきっかけに新たな命を得た名曲の究極は、1914年(大正3年)に尋常小学唱歌として発表された「ふるさと」かもしれない。大震災直後の11年4月、世界的テノール歌手のプラシド・ドミンゴが周囲の反対を押し切って来日、東京のNHKホールやサントリーホールで日本の人々を励まそうと、不慣れな日本語で懸命に歌った。その姿が放映されて以来、震災後にダウンロード件数が急増した「アメイジング・グレース」や「上を向いて歩こう」などとともにチャリティー公演の定番に躍り出た。

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