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歴史博士

「征韓論」生んだ西郷のストレス太り 病気が変えた幕末維新

2012/2/25

歴史博士

西郷隆盛はストレス過多、高杉晋作や木戸孝允らも体調を崩しがちで、坂本龍馬は風邪に悩まされていた――。幕末・維新史をキーパーソンの健康状態から読み解こうとする研究が始まっている。幕末の日米修好通商条約から王政復古、明治の征韓論など転換期に体調問題がどんな影響を及ぼしたのか。残された史料、書簡から専門医が精神分析するなど真相を一段階深くえぐった近代史の構築を試みている。

大久保利通にも「持病の下痢」

明治維新を主導した西郷隆盛。実はさまざまなストレスと体調不良に悩まされていた

「西郷隆盛は感情量が豊かで、緻密・繊細な性格。ストレスもためやすかった」とみるのが大阪経済大学の家近良樹教授だ。「度量の広い東洋的な大人物」といった従来のイメージとは異なった西郷像を著書の「西郷隆盛と幕末維新の政局」(ミネルヴァ書房)で描きだした。西郷関連の書簡を分析すると「対象相手に感情移入しやすいタイプ。部下への指示も細かく念入りだった」(家近教授)という。

西郷には喫煙の習慣もあったという。さらに日本医史学会理事長の酒井シヅ・順天堂大名誉教授は「風土病のフィラリア症にも悩まされていたようだ」と指摘する。

一方、ストレスの原因は事欠かない。2度の遠島暮らし、主君の島津久光との不和、徳川慶喜の政略には度々翻弄され、自ら樹立したはずの明治政府にも不満が高まった。西郷は書簡では下痢に悩まされた事を吐露する一方、「恨を生じ」「憤怒に胸を焦がし」などの表現もみられる。思うように活動できず自らのストレス太りを自嘲している文面もあるという。

ただ西郷周辺の人物も健康良好とはいえなかったようだ。大久保利通には「持病之下痢」があり、島津久光は脚気(かっけ)、薩摩藩家老の小松帯刀も足痛の持病があったという。

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「王政復古」は協調派の病気も遠因に
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