旅行・レジャー

耳寄りな話題

トンカツ「黒白」対決、鶏なら新顔「第三の黒」 出張グルメの達人・鹿児島編

2012/2/11

出張グルメ・鹿児島編では江戸時代以来脈々と続く「肉食文化」の神髄をご紹介する。さて、「草食系」もうなる肉とは――。

入門編~トンカツ、「黒」「白」どちらもうまい!

鹿児島名物の黒豚は「白身」がうまみのポイント

「ここは鹿児島、旅路の果てか」。鹿児島育ちの森進一が歌う大ヒット曲「港町ブルース」では日本の外れのようにされた鹿児島だが、昨年3月の九州新幹線の全線開業以来、訪問者が急増し、街は活気に満ちている。

鹿児島に来た人に何を食べたいかを聞くと、まず上がるのが豚や牛などの肉、次いでラーメン。海に囲まれた県なのだが、魚を挙げる人はあまりいない。それもそのはず、鹿児島は全国に冠たる「畜産王国」なのだ。豚、和牛、ブロイラーのいずれも産出額は全国1位(2009年)で、シェアは1割を超える。

なぜ、鹿児島で畜産が盛んなのか。平野が少ない上、大隅半島などシラス台地ではコメ栽培に適さない場所が多いという地理的な理由がある。さらに、歴史的に獣肉を食べる習慣が鹿児島に根付いていたということも見逃せない。

■薩摩の精神支えた「豚」と「鶏」

歴史学者で、NHKの大河ドラマ「篤姫」などの時代考証も担当した志学館大学(鹿児島市)の原口泉教授によると、江戸初期に薩摩藩が琉球を占領して以来、武士階級を中心に琉球豚を食べる習慣が広がったという。

鹿児島の黒豚は四肢と鼻と尾の先だけが白いため「六白」と呼ばれる

幕末には薩長同盟が成立した後、士気を高めるために京都の藩邸に薩摩藩士が集まり、「豚肉パーティー」を開いた記録が残るほどだ。薩摩藩は闘鶏も盛んで、負けた鶏肉はその場で食べたとされる。まさに「豚と鶏が薩摩の精神を支えた」(原口教授)というわけだ。

現在、全国に知られた鹿児島の豚肉料理は「黒豚しゃぶしゃぶ」だろう。食べられる店は鹿児島市内だけで100軒は下らない。ただ、本物の鹿児島黒豚をしゃぶしゃぶで味わおうとすれば、1人当たり数千円はかかる。

ならば、トンカツはいかがか。1000円以下で食べられる店もあり、しゃぶしゃぶより手軽に鹿児島の黒豚を堪能できる。

■黒豚トンカツランチ、680円

「あぢもり」は元祖黒豚料理を看板に掲げる

代表格が鹿児島随一の繁華街、天文館にある「あぢもり」(鹿児島市千日町13の21)だ。「え、ここ高級しゃぶしゃぶ店じゃないの」と鹿児島に行ったことがある人は疑問に思うかもしれない。確かに夜のしゃぶしゃぶは最安コースでも1人前4200円。ところが昼は「黒豚バラかつランチ」が680円で食べられる。「黒豚の良さを分かってもらいたいから、この値段にしているんです」と佐藤光也社長は語る。

黒豚は奄美諸島の「島豚」と英国のバークシャー種を交配・改良した品種だが、ヨークシャー種やランドレース種などの白豚に比べ、飼育日数が2カ月ほど長くかかるうえ、親豚から一度に産まれる子豚の数も2~4頭少ない。黒豚は1950年代までは主流だったが、こうした生産コストの高さが敬遠され、飼育農家が急減。60年代には県内で生産を辞めるべきか否かの「黒白論争」が起きたほどだ。当時の知事裁定で辛うじて「絶滅」は免れたが、その後は細々と生産される時期が続いた。

「あぢもり」の人気ランチメニュー「ばらかつ」はごはん、みそ汁、小鉢、漬物がついて680円

佐藤社長が黒豚と出合ったのはそんな黒豚不遇の78年だった。北海道出身で鹿児島には縁もゆかりもなかったが、脱サラして妻の実家の鹿児島のラーメン店を手伝うことに。そこで母校の慶応大学の先輩から黒豚を扱ってほしいと頼まれた。「何だ、豚か」と思ったが、食べてみてそのおいしさに目を見張る。

旅行・レジャー 新着記事

ALL CHANNEL