こうしてカレーは日本を代表する国民食になる。今では料理の人気ランキングでも、ラーメンやすしなどと並んでカレーは上位の常連だ。
平均的な日本人、月7回はカレー
どうして日本人はカレー好きなのだろうか?
カレー総合研究所(東京)の井上岳久所長が面白い見解を披露している。
(1)カレーには5味(甘さ、酸っぱさ、辛さ、苦さ、塩辛さ)がバランスよく含まれ、味に繊細さと深みがある(2)日本人の主食であるご飯と相性がいい(3)日本独自のカレーの具材の典型であるジャガイモ、タマネギ、ニンジンなど野菜との相性もいい(4)カレーうどん、カレーパンなど様々にアレンジした新メニューを開発しやすい(5)手軽に料理できるカレールーの発明――などがその理由という(表4)。
「日本人は漢方なども服用してきたから、カレーの香辛料にもそれほど抵抗感がなかったのではないか」。こんな独自の仮説も展開する。カレーの発祥地はインドだが、日本風の味付けや技術、感性などを随時付け加えながら、インドとはかなり異なる独自のカレーに発展してきたわけだ。
日本で独自に発展、成熟してきたという点では、ラーメンなどと共通する部分があるかもしれない。
統計によると、日本人がカレーを食べる月間平均回数は約7回。家庭でカレーを作り、食べる月間平均回数は約2.5回にのぼるという。