日本とカレーの歴史を簡単にまとめたのが表2である。
小説「三四郎」にも登場
もともとインドなどの料理だったカレーは英国に伝わり、その後、明治時代初期の日本に上陸した。「少年よ大志を抱け」で有名なクラーク博士が開校した札幌農学校の食事にもライスカレーが登場。明治30年代ごろには洋食屋のメニューの定番になるなど各地で普及が徐々に進み、夏目漱石の小説「三四郎」にもライスカレーが出てくる場面がある。
栄養価が高く、調理しやすいカレーは、やがて陸海軍の食事にも採用され、帰還兵などを通じて全国にさらに広まる。こうして、ライスカレーという呼称は国内各地に浸透し、日本に伝来した明治初期から終戦直後まで一貫して主流の座を占め続ける。
ところが、1950年代半ばから始まった高度経済成長で状況は大きく変わる。
東京五輪が分岐点
「1964年の東京オリンピックごろが分岐点ではないか」とエスビー食品の高井さんは見る。
消費量が急激に拡大する一方で、簡便性のある即席カレー、おいしさを求めた高級カレーなどの多様化が一気に進んだのだ。つまり、この時期、カレーという料理自体が大きく変貌(へんぼう)を遂げ、呼称そのものもライスカレーからカレーライスに一気に切り替わったというわけ。
そもそもカレーライスという呼称はどこからやってきたのか?
これには百貨店の食堂や有名レストランなどが発祥との説がある。ただ、現段階では詳細は分かっていない。