京都人って、やっぱり意地悪? 京都本の正しい読み方

京都本に「楽しみ方」アリ~京都にも慶応義塾が!~

京都慶応義塾があったことを記念した石碑が京都府庁にひっそりとある

太郎 歴史や文化を知らないと責められると、たしかに返す言葉もありません。大学の街といわれる京都ですが、母校の慶応があったなんて知りませんでしたし。

部長 なんだ、それは?

太郎 福沢諭吉が1874年(明治7年)に、京都府の要望に応じて京都所司代の跡地、今の府庁の場所に「京都慶応義塾」を開設したんです。教員不足などから1年で閉じましたが、府庁の門の左脇に石碑がありますよ。

部長 悔しいが初耳だ。まだまだ勉強不足だな。

京子 京都本の面白さのひとつは、書き手や彼らが属する世代によるギャップや変化を読み取ることだと思うんです。同じ情景や出来事を描いても、違いがあって……。例えば1979年(昭和54年)のエッセーにある鴨川ごしの描写に「今は京大病院の高層建築が赤煉瓦の建物の上に覗いて、少し風情を壊している」とあり、時代を感じます。

部長 今はともに建て変わったからな。

京子 同じころに同志社大学の教授が「京都というと、すぐ祇園だ、西陣だ、室町だというのは観光案内書の悪い癖だ」と注文を付けています。人気スポットの移ろいが伝わります。

部長 それでいうと、30年前にある作家が「このごろでは、哲学の小径などという新しくつくられた名所も仲間入りして、アンノン族に人気がある」と書いていたのを読んだぞ。春節の中国人観光客で大にぎわいだった観光スポットにも“できたて”の時期があったんだな。

太郎 それこそ今なら町家をいかしたショップやレストランが人気ですが、世代がかわると違和感を持たれるのかもしれません。

部長 我々は目先のニュースを追うのに懸命だが、長いスパンで物事を考える機会に恵まれているのが京都だな。千年の都、なんて言葉を持ち出さなくても、たかだか数十年でこれだからな。

京子 京都は出版社も多く、美術図書で知られる光村推古書院や、茶道の裏千家に連なる淡交社などが有名です。ガイドブックや雑誌の京都特集を請け負う編集プロダクションも多いし。

部長 大学入試の過去問を集めた「赤本」を出す教学社も、京都の出版社だ。

「情報依存過多」にはご用心

太郎 所蔵する京都本も100冊に迫ってきたので偉そうに言いますが、ガイドブックには当たり外れがありますね。

部長 たしかに玉石混交ではあるな。われわれ読み手の側も、情報を追いすぎるというか頼りすぎるのには注意が必要だ。

京子 飲食店の人気ランキングサイトも同じことが言えませんか?

部長 たしかに東京あたりと違って京都は、いい店なのに口コミ件数が極端に少ないときがあるな。

京子 本当に大事な店は知られたくない、ということなんじゃないですか。

部長 逆にガイドブックやテレビで有名になった店の点数が甘い傾向があるし。

京子 せっかく遠くから来たんだから、という心理が働いて、採点が甘くなるんでしょうかねえ。