円高や原発事故… 変化する「地産地消」の使い方

「地産地消」が広がっています。といっても食料の自給自足や「食育」の話ではありません。新聞記事を読んでいると、円高の進行や東京電力福島第1原子力発電所の事故などを受けた新しい「地産地消」の動きが、見られるようになりました。

農水省では食用限定

野菜直売は「地産地消」の典型(茨城県内の直売所)

地産地消は「地域生産地域消費」を略したもので、1980年代につくられた語だといわれています。日本経済新聞では「地域に根差した食文化の創造を掲げたこの運動は、とりわけ『地産地消』活動の推進を重視。地域で生産した農産物はその地域で消費しようと企てているのは、農産物が豊富な岡山県でも自給率となると米八一%、野菜四〇%、果物一五%に過ぎないからだ」(1985年10月31日付中国経済面)という記事が初出です。

農林水産省のホームページによると「地産地消とは、国内の地域で生産された農林水産物(食用に供されるものに限る。)を、その生産された地域内において消費する取組です。食料自給率の向上に加え、直売所や加工の取組などを通じて、6次産業化にもつながるものです」と、食用のみと定義されていました。

「地産地消」の記事出現数
農水産物
など食用
食用以外
20111278
2459
395
4243
597
63516
7244
81616
9145
101720
11338
12812

※2011年1~12月の日本経済新聞朝夕刊から

では、国語辞典にはどのように書かれているのでしょうか。主な辞典を調べたところ、語義で「農水産物」と明確に示しているのは広辞苑第6版(2008年)だけで、他は「ある産地で生産されたものを、その地元で消費すること」(新明解国語辞典第7版、2012年)、「地元で生産されたものを地元で消費すること」(明鏡国語辞典第2版、2010年)などと記述しています。

ちなみに「地産地消」を早く取り上げたのは大辞林第3版(2006年)で、現代用語の基礎知識(自由国民社)には2000年版から掲載されていました。

自然エネルギーにも

最近は食用以外でも広く使われるようになってきました。円高の進行で、国内企業が新興国など国外の需要地に生産拠点を設ける「地産地消戦略」をとったり、原発事故以後、自治体が風力や太陽光などを「地産地消のエネルギー源」とする計画を進めたりする動きが出てきています。

また、千葉県では県産の農林水産物を県内で消費しようという独自の取り組みを推進し、「千産千消」という語も見かけるようになりました。語の誕生から約30年、「地産地消」は定着しながらも、少しずつ変化を遂げているようです。

(小林肇)

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