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ことばオンライン

2012/1/10

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自ら人名用漢字への道を切り開く

三原の監督としての通算記録
試合32481位
勝利16872位
敗北14532位
リーグ優勝6回1949年巨人
54年、56~58年西鉄
60年大洋
日本シリーズ優勝4回56~58年西鉄
60年大洋

51年の人名用漢字に脩が入らなかったのは、40年に出版された「標準名づけ読本」が選んだ500字がベースになったためでした。これは紳士録などから1万人の名前を調べたもので、延べ2万2447字のうち脩は僅か2字とあって、500字からは漏れました。それが75年、法務省民事局が全国の市区町村の戸籍窓口を対象に行った調査では、脩は「人名に用いる常用平易な漢字として追加すべき漢字」の44位にランクイン。81年に正式追加となった次第です。これは実際に窓口で不受理となった漢字の出現頻度などを調べた調査で、脩の字を人名に使いたいと考えていた人が少なからずいたことを示しています。

人名用漢字の歴史に詳しい京都大学の安岡孝一准教授は「歌手の南沙織(芸名、71年デビュー)のように、確実に人名用漢字に影響を与えた有名人は存在する」と指摘します。前述の75年調査の1位は「沙」の字でした。脩もその類例である可能性は十分に考えられるのではないでしょうか。生まれた時点では人名に使えた脩の字が、「いざ改名せん」と決した頃には国の政策によって使えなくなったものの、自らの影響力で人名用漢字へと昇格する道を切り開き、晩年になってついに正式な改名を果たした――三原にとって脩の字を巡る過程もまた「筋書きのないドラマ」だった――そう感じられて仕方がありません。

(中川淳一)

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