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ニホンVSニッポン 「日本」の読み方、どっちが優勢?

東京ふしぎ探検隊(18)

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日本の読みは「ニホン」か「ニッポン」か。長年議論されてきた問題は、2009年、麻生太郎内閣の閣議決定でひとまず「どちらでもいい」となった。では日常生活だとどちらを使うことが多いのか? 各種調査では「ニホン」派が圧倒的だが、スポーツでは「ニッポン」が目立つ。そこには多様性を認める日本らしさがあった。

話し言葉では98%が「ニホン」

日本代表、日本人、西日本……。日々の会話の中で、「日本」が付く言葉は頻繁に登場する。話し言葉では「日本」を何と発音しているのか。国立国語研究所などが実際の話し言葉を分析したところ、「ニホン」が圧倒的に多いことがわかった。

使ったのは「日本語話し言葉コーパス」というデータベース。国語研が情報通信研究機構、東京工業大学などと開発した。実際の話し言葉を収録してあり、検索するとどの言葉がどのように発音されたか分かる。

少し古いデータになるが、2004年の分析では8242回あった「日本」のうち、「ニホン」と発音したのが8046回だった。実に97.6%。単語別にみても「日本」では96.2%が「ニホン」と発音し、「日本代表」は80.6%が「ニホン」。「ニッポン」と発音することが比較的多かった「日本一」でも77.5%は「ニホン」だった。

調査を担当した国語研の前川喜久雄・言語資源グループ長は「『ニホン』の比率は普通に考えられているよりもずっと高かった」と振り返る。

NHK放送文化研究所も、「日本」をどう読むか、過去に何度か調査している。最も古い調査では1963年(昭和38年)、東京オリンピックの前に「ニホン」か「ニッポン」かが話題となり、調べた。国の名前は「ニホン」がいいか、「ニッポン」がいいか、尋ねたところ、「ニホン」が45.5%、「ニッポン」が41.8%とほとんど差がなかったという。

次に調査したのは1993年(平成5年)。同じ質問に対し、今度は「ニホン」が58%、「ニッポン」が39%とニホン優勢となった。

さらに10年後、2003年(平成15年)の調査では、「ニホン」が61%、「ニッポン」が37%と、ニホン優勢の流れがそのまま続いていることが判明。2003年以降は調査は行っていないという。

国語辞典でも「ニホン」が優勢

NHK放送文化研究所ではユニークな調査も行っている。過去に発行された国語辞典の記述調査だ。

2003年、同研究所に在籍していた宮本克美氏は、1603年の「邦訳日葡辞書」(長崎版)から2003年の「新和英大辞典」(研究社)まで、代表的な国語辞典89種類136冊について、「日本」と「日本銀行」をどう読むか、調べ上げた。

その結果、国の名前としての「日本」は「ニホン」と主に読ませる辞典が58冊と、全体の43%を占めた。「ニッポン」を主とするのは26冊(19%)にとどまり、2つの読み方を同格として扱う辞典が29冊(21%)あった。「日本銀行」の場合は「ニホン」が52冊(38%)、「ニッポン」が34冊(25%)だった。辞典の世界でも、「ニホン」派が優勢のようだ。

ところで「ニホン」か「ニッポン」かを議論するとき、必ず登場するのが日本銀行。お札を確認してみると、「NIPPON GINKO」と書いてある。しかしNHKがテレビやラジオで話すときの基準では、日本銀行は「『ニホン』を第1とし、『ニッポン』を第2とする」となっている。「原則は『ニホン』だが、『ニッポン』でもよい」といった意味だ。どちらが正しいのか? 日銀に尋ねてみると、「『ニホン』でも間違いではありませんが、紙幣に合わせて『ニッポン』としています」とのことだった。

お札の「NIPPON」は薩摩人の好み?

日本銀行の読み方についてさらに調べていくと、30年近く前の新聞に興味深い記事を見つけた。1984年(昭和59年)2月21日の日本経済新聞の記事だ。それによると、お札に「NIPPON」と印刷するようになったいきさつについて、日銀が自ら調査した、という。日銀に問い合わせたが、その資料は見つからなかった。当時の記事によると、調査結果は以下のような内容だった。

お札に「NIPPON GINKO」と印刷するようになったのは1885年(明治18年)。当時の通貨当局の要人には、大蔵大臣の松方正義、初代日銀総裁の吉原重俊ら薩摩(鹿児島)出身者が多かった。薩摩出身者は当時、力強い「ニッポン」の発音を好んで使っており、その意向が反映されたのではないか――。これが日銀の推定だ。

真偽のほどは定かではないが、明治時代、西日本では「ニッポン」、東日本では「ニホン」と読む傾向があった、との説もある。興味深いテーマだ。

民主党、過去には「ニッポン」主張

政治の世界では時折、「ニッポンとすべし」という議論が持ち上がることがある。最近では2006年、当時野党だった民主党が「日本国教育基本法案」を提出した際、話題となった。これは「ニッポン」と読む。

法案名について藤村修衆院議員(現・官房長官)は「国内法の中で日本(ニッポン)国がつくのは憲法のみ」「日本(ニッポン)と読む方が、海外に発信するという意味でも正しいのではないか」と述べている。

与党となった現在ではどうなのか。民主党に問い合わせてみた。

歴代首相は「ニホン」か「ニッポン」か

「党として『ニッポン』と読むか『ニホン』と読むか、統一はしていません」。確かに、野田佳彦首相は就任時の会見で「ニホンを元気にする」と語っていた。菅直人前首相も会見では「ニホン」と話していたが、民主党のテレビCMでは「元気な日本(ニッポン)を復活させる」と力を込めていた。読み方は個人による、ということなのだろう。

自民党はどうか。過去の国会答弁や会見を改めて見てみると、小泉純一郎元首相は「ニッポン」と「ニホン」、どちらも使っていた。国会で力強く「ニッポン」と叫ぶこともあれば、靖国参拝時の会見で「ニホン」と繰り返したこともある。

2009年の閣議で呼称は「どちらでもいい」と決めた麻生太郎元首相は、CMでは「ニッポン」と言い、著書は「とてつもない日本(ニホン)」。安倍晋三元首相は「ニッポン」が多いようだ。

ちなみに日本国憲法はどうなのか? 内閣法制局に聞いてみた。「よく聞かれるのですが、読み方については特に規定していません。ニッポンでもニホンでも構わない、というのが実情です」とのことだった。

スポーツでは力強い「ニッポン」

一般的に「ニッポン」は力強く、「ニホン」は柔らかい、といわれる。スポーツの応援で「ニッポン」が使われるのはそのためだ。オリンピックでは「JAPAN」がプラカードにもユニホームにも使われているが、日本が初めて参加した1912年(明治45年)のストックホルム五輪では、プラカードは「NIPPON」だった。1964年(昭和39年)の東京五輪ではユニホームに「NIPPON」と書かれていた。

その東京五輪でニッポンの名を世界に知らしめたのがバレーボール。多くの競技が「ジャパン」を使う中で、バレーボールでは今も「ニッポン」にこだわる。ユニホームは国際ルールに従い「JAPAN」に変わったが、愛称は全日本男子が「龍神NIPPON」、女子は「火の鳥NIPPON」だ。日本バレーボール協会では「バレーボールといえばニッポン、というイメージがあるので」と話していた。

ただ、バレーボールを除くと、英文表記ではNIPPONよりJAPANが好まれる傾向にあるようだ。サッカー日本男子は「監督名+ジャパン」という呼称が広く使われ、女子は「なでしこジャパン」。野球ではワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表の愛称が「SAMURAI JAPAN(通称・侍ジャパン)」だ。ちなみに男子ホッケー日本代表の愛称は「さむらいJAPAN」。野球より先に命名し、商標登録もしたが、知名度では苦戦しているようだ。

スポーツではないが、雑誌でもNIPPONからJAPANへの流れが見られる。蓮舫行政刷新相が登場したことでも話題となったファッション誌「VOGUE JAPAN」は2011年5月号から雑誌名を変更。かつては「VOGUE NIPPON」だった。

国の名前という基本的なところで2つの読み方が共存して違和感がないことについて、早稲田大学の笹原宏之教授は「多様性をいとわない日本人らしさの表れ」と指摘する。日本語の懐は深い。

(電子報道部 河尻定)

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