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ミニ鳥居くぐって初詣 粟嶋神社宮司 本田修

2012/1/1

 正月、神社といえば初詣。全国の神社は大きなにぎわいを見せる。私が宮司を務める熊本県宇土市の粟嶋神社も同じだが、一つだけ他の神社と異なることがある。鳥居がとても小さいのだ。

(ミニ鳥居の映像は、パソコンで右下の写真をクリックするとご覧になれます)

靴脱ぎ腹ばいで前進

参拝者はわずかなスペースをほふく前進のようにしてくぐり抜ける独特の方法で参拝する

参拝者はわずかなスペースをほふく前進のようにしてくぐり抜ける独特の方法で参拝する

 本殿前に並ぶ3基の「ミニ鳥居」。いずれも石造で、高さは70センチに満たない。軽く一礼して通過できる大きさではない。参拝される方は鳥居の前で靴を脱いで腹ばいになり、縦横およそ30センチのわずかなスペースを、ほふく前進のようにしてくぐり抜ける。これが当神社に伝わる独特の参拝方法だ。初詣の時にはミニ鳥居の前に順番待ちの長い行列ができる。

 鳥居の下には服が汚れないようきれいな特注のゴザが敷いてある。各人の願いを込め、迷わず鳥居をくぐり抜けていただきたい。くぐった後は何とも言えない解放感に満たされ、爽快な気分になれるはずだ。

 当神社は子宝・安産・健康の神である少彦名命(すくなひこなのみこと)を祭る。病気の平癒や子授けなどのほか、良縁や厄よけ、災難除けなどに霊験あらたかとうたってきた。

 江戸時代初期の1633年、この地に住んでいた老夫婦が旅の僧に一夜の宿を供したことが当神社の縁起である。その夜、妻の夢枕に「粟嶋の神」が立ち、「信心深き汝(なんじ)等に幸を授けん」と告げた。翌朝、僧の姿は消えており、代わりに一体の神像が残されていた。夫婦がその神像を祭って建てた小さな祠(ほこら)が当神社の前身だ。

 時代は下り江戸後期の1814年、当神社の祈祷(きとう)で瀕死(ひんし)の重病から奇跡的に回復した信者がおられた。その方がお礼に小さな鳥居を奉納した。これが初代のミニ鳥居だ。しかし、最初から参拝者がくぐることを念頭に置いていたのかどうかは分からない。当時の本殿はまだ小さな祠にすぎなかったので、それに合わせて鳥居を小さくしたとも考えられる。

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