「学歴神話」捨てきれず… 多大な教育投資に揺れる40代・惑いの10年

一流大学に入って勝ち組になる――。過酷な受験戦争を経験し、「学歴神話」を固く信じてきた40代の母親は、子どもの教育に過剰ともいえる力を注ぐ。しかし、長びく不況やグローバル化の影響で、高学歴でも生涯安泰とはいえない時代となった。子どもに勉強する目的をどう教えたらよいか揺れている。

子どもの教育に関する講演会で熱心にメモをとる母親。40代の姿も多く見られた(千葉県流山市)

「子どもには失敗させたくない」。生命保険会社で働く都内在住のA子さん(43)は有名私大卒だが、かつて東京大学の入学試験に落ちたことが心の傷になっている。大学ブランドは今の仕事とは全く関係ない。「でも、あんなに頑張ってもダメだった」と苦い思いを引きずる。だから小学4年生の娘には知育によいと聞けば、塾でもなんでも通わせる。習い事の支出は月に6万円に上る。

受けた教育影響

子どもの教育には金と手をかけずにはいられないという気持ちが今の40代の母親には強い。

ベネッセコーポレーションが2007年に行った意識調査で小学校高学年の子どもを持ち首都圏に住む40代と30代の母親を比べると、「子どもを4年制大学まで進学させたい」は40代が61.0%なのに対し、30代は39.1%。「できるだけいい大学に入れるよう、成績をあげてほしい」は40代が23.5%に対し、30代は12.8%と倍近くの差がある。「40代の母親は学歴志向で学力へのこだわりが強い」(沓沢糸・ベネッセ教育研究開発センター主任研究員)

その理由として受けた教育がある。今の40代を育てた60~70代の女性は「女に学問は不要」と進学を断念させられた人が多かった。夢は子どもに託され、今の40代では、大学を卒業して働き続ける女性が多い。

「今の40代は男女とも、勉強ができることが最もよいことと期待された世代」と北風祐子・電通総研ママラボ所長(41)はいう。「努力すればもう一段上の学校にいける」(大日向雅美・恵泉女学園大学大学院教授)と信じて背伸びするのが当たり前だった。

そのため、40代の母親は子どもがほどほどでは満足できず、より高い学力を求める。「マルかバツか、ゼロか百かしかなく、過程を見ない母親がこの世代には多い」と大日向さんはいう。

目的説明できず

ただ、学歴が絶対ではないことは、今の40代にもわかっている。