老舗困った! 「すし」に異変、人気はサーモンへ マグロ後退背景にグローバル化も

サーモンは回転ずしで人気のネタだ(埼玉県川口市のかっぱ寿司川口柳崎店)

かっぱ寿司を展開するカッパ・クリエイトは、「サーモンアボカド」「焼サーモン」など、サーモンを使った商品を6種類提供する。

11年11月の売り上げ20位内には「サーモン」(2位)、「トロサーモン」(5位)などサーモンを使った3つの商品がランクインした。5年前、20位以内に入ったのは2つだけ。最高順位も「サーモン」の4位だった。

スーパー、売り上げ2割増 「低価格」後押し

高級スーパーのクイーンズ伊勢丹を展開する三越伊勢丹フードサービス(東京・中央)は、3年前から刺し身向けなどにノルウェー産オーロラサーモンの取り扱いを始めた。今月の売上高は昨年よりも2割増を見込む。

オーロラサーモンの刺し身の価格は100グラムあたり約300円。これに対して、マグロの中トロの価格は2倍もする。

クイーンズ伊勢丹では、ノルウェー産オーロラサーモンのフェアを開催(千葉県市川市の本八幡店)

サーモンが大好物だという7歳の娘を持つ埼玉県川口市の主婦(31)は「マグロに比べて安く、子どももたくさん食べられる。家の食卓によく並ぶ」と話す。日本人の好みは、トロなどの脂ののった刺し身に移ってきた。そうした「脂志向」の中で、割安なサーモンに人気が集まってきたともいえる。

イトーヨーカ堂でも今年3~11月の刺し身用などのサーモンの売上高は、昨年同期比2割増となった。需要が増加しているため、取り扱う種類を増やして対応しているという。

年末に向けサーモン人気は一段と高まりそう。ノルウェー産サーモンの輸入を手掛ける第一水産(東京・中央)の今月の売り上げは、昨年の8割増にまで膨らむ見通しだという。

養殖で安定供給、チリ産が躍進

「マグロは養殖は難しく、天然のものが多いので品質にばらつきがある場合もある。一方、サーモンは養殖で安定供給ができる」。築地の卸大手はサーモン人気の裏に「安定供給」という事情があるとみる。

サーモンの生産量は世界的に増加。国連食糧農業機関(FAO)によると、世界のサケマスの総生産量(08年)は312.8万トン。20年前に比べて2.65倍にまで急増した。その増加分のほとんどはチリやノルウェーなどで生産された養殖サーモンだ。

「養殖されたサーモンは、サイズや価格、脂ののり具合などが均一的」。水産資源の研究開発などを手掛ける独立行政法人、水産総合研究センターの担当者は、養殖サーモンの「均一性」が外食や流通業者に評価されていると話す。「特にチリ産は単価が安く手ごろ」で、09年の世界の総生産量1位で27%を占めるノルウェーに次ぎ、17%を占めるなど存在感を増している。