ガラパゴス的に進化した日本の将棋羽生善治 将棋棋士

将棋の起源は古代インドのチャトランガと呼ばれたすごろくだと言われています。

3連勝で山崎七段を下し、18連覇を遂げた筆者(2009年9月25日、山形県天童市)

西の方へ行ってチェスとなり、アジアには一国に一つ、その国の「将棋」がほぼあります。

最初は娯楽として始まったわけですが、それぞれの歴史や伝統、思想などの影響を受けながらルールが変わっていきました。

日本にいつ将棋がやって来たのか、正確な時期はまだ分かっていません。

最古の駒は興福寺から出土

奈良にある興福寺から出土した駒が現在のところ、最古のものと言われています。

現在のルールが確定したのが400年前ですが、他の国の将棋と比較するといくつかの特徴が見られます。

一つは取った駒をもう一度使う持ち駒再使用のルールです。

最近ではエコロジーという言葉がよく使われていますが、将棋の駒も何回もリサイクルされて使われます。

ですので、自分と相手が同じ色の駒で対局をするのは日本の将棋だけです。

チェスの場合は白と黒、中国象棋(シャンチー)では赤と黒に色分けされます。

持ち駒を再使用することによって可能性を少なくしないようにしたのはまさに先人の知恵だと思っています。

また、取った駒が使えるので強い駒は作りにくくなってしまったのでしょう。

将棋の場合は序盤は穏やかで、終盤になるととても激しくなります。

チェスの場合は序盤は激しいのですが、終盤になると駒の数が少なくなるので静かな戦いになります。

感覚としては将棋の序盤の駒組みのようなものはほとんどありません。

世界の中で存在感

2010年の王座戦は筆者と藤井猛九段の同年対決となった

日本の将棋はガラパゴス的な変化を遂げて完成をしたと考えています。

他のジャンルにおいても日本はガラパゴス的な変化をしていると指摘されていますが、どうやらそれは昔からのようです。

ですから、他の国の将棋と比較をしても似ている点は少ないのです。

比較的近いと思われるのはタイ将棋のマックルックですが、よく似ているとは言えません。

将棋が他のものより優れているとは思いませんが、極めて独特でユニークな存在であると思っています。

グローバルな世界の中で存在感を示して行くためには、その独自性とユニークさを最大限に生かすことが鍵になるのではないかと考えています。

羽生善治(はぶ・よしはる) 1970年、埼玉県所沢市出身。二上達也九段門下。82年奨励会入会。85年四段、史上3人目の中学生棋士に。96年、史上初の七冠独占。昨年の第58期まで、19期連続で王座を保持。通算のタイトル獲得は80期で、大山康晴十五世名人と並び歴代最多タイ。
読者からのコメント
安田 享祐 60代男性 東京都
なるほど、他の国の将棋との比較論、目からウロコでした。ガラパゴス的進化という言葉が言い得て妙に思えます。日本人のこだわりが生んだ傑作。なぜか、誇らしい気持ちになりました。他の分野でも、日本人としての独創性に大いに期待したいと思います。
enjoygolf 50代男性 海外
私は本将棋の変則で、もうかれこれ十年近く楽しんでいます。ルールは、ひとつ下の駒の動きをするという大きな変則以外は、すべて本将棋を同じです。この将棋は、スピードが速く、それでいて、意外などんでん返しを含んでいます。一度、羽生名人のような柔軟性のある棋士と差してみたいものです。

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