マネジメントスキル、訓練で習得可能
山極 相手を1人の人間として認め、力を発揮してもらおうと考えれば、セクハラ発言は出ないです。性別に関係なく、自分の主張を妥協せず述べ、互いに主張し合って、合意する。このスキルが重要。
同席していた男性デスク スキルを習得するのはかなり、難しそうですね。
山極 実はスキルを取得する訓練があるけれど、やってみましょうか?
男性デスク 役員から30分以内にリポートを出してくれ、と言われたとします。必要なデータを部下に用意してもらいたい。でも、彼女もいっぱい仕事を抱えていた。どうしたら良いでしょう。
山極 上司が「絶対にやれ」、女性部下が「できません」では双方不満ですし、上司が「忙しいならしょうがないね」と諦めては仕事が進まない。どちらも良くない選択です。
「なぜ今できないのか」事情を聞いた上で、部下の仕事の整理をしてあげるんです。優先順位を決め、他の人に頼めそうなら、そっちに振って、後回しにできるものは後回しにする。それから「どうしてもやってほしい」理由を説明する。そうすれば、安心して頑張ってやりますよ。終わったら、「ありがとう」も忘れずに。
男性デスク 男性なら、「とりあえずやれ」と言われたら「とにかく頑張る」みたいな文化があるんですが…。
山極 口にしないだけで、内心、「なんだこの上司」って思っていますよ。そういうことが続くと尊敬されません。
宇津木 男性って、あうんで「分かるだろ」ってところありますね。女子でも今、「アテネ代表」世代が実業団チームの監督になっていて、できない子の気持ちが分からないの。「こうやって打つんだ」と、麗華が見本を見せればホームラン。選手に「私は麗華さんと違います」って言われると、「うるさーい」って怒ってる。
ただ、麗華も最近、分かったようね。思いやりの気持ちとか、相手に合わせたコミュニケーションが必要だって。でも、やっぱりおっくうみたい。自分ができるから。
川崎 人を管理するマネジメントは面倒くさいんですよ。昔は「右と言えば、右向く」みたいな軍隊方式。楽ですけれど、それはマネジメントではない。
山極 命令して使うのと、やる気を引き出して使うのとでは、生産性が全然違いますからね。
司会 今、少子高齢化が進み、さらにグローバル競争も激しくなっています。
山極 新しい価値をどう創るかが日本企業の課題です。付加価値を出すには、やる気をどう引き出すかが大事なんです。