ワンポイントアドバイス

堀に囲まれた福井城跡に建つ県庁は「「官」が強く「民」が弱い福井の風土を象徴する。

福井の県民性は端的に言えば保守的。衆院の選挙区と参院の計5議席すべてを自民が独占する全国でも珍しい県だ。目立つことをよしとしない風土があり、「宣伝ベタ」を自認する県民が多い。コシヒカリの本家は新潟県ではなく実は福井県だという事実は「宣伝ベタ」の象徴としてよく語られる。「官」の力が強く、「民」とりわけ市民グループや非営利組織(NPO)の活動があまり目立たないのも気になるところだ。



幸福度、日本一

法政大大学院・坂本光司教授研究グループ調べ

保守的な理由はいろいろ考えられるが、「そこそこ豊かなので変化を望まない」(ある中小企業経営者)ということだろう。この見方は各種の調査や統計で十分に裏付けられる。

『幸福度』日本一は福井県――。こんな調査結果を11月9日、法政大大学院政策創造研究科の坂本光司教授の研究グループが発表した。社会経済統計の中から「持ち家率」「正社員比率」「貯蓄現在高」「平均寿命」など幸福度を示すとみられる計40指標を抽出し、各10点満点で点数化。その平均点で47都道府県を順位付けした。このほか、福井は2010年7月から有効求人倍率全国一を維持しているし、旧経済企画庁が1990年代に発表していた「豊かさ指標」でも1位の常連だった。

ビジネスの要は「一点突破、平面展開」

保守的な地域だとビジネスはやりにくそうだが、必ずしもそうではない。福井は世界で最初の人絹取引所があった歴史があり、ある地場証券社長は「県民は相場に敏感で、株式への関心が高い」と指摘する。豊かさは、裏を返せばお金持ち。2010年国勢調査で福井県は3世代同居世帯割合(17.6%)は全国2位、持ち家率(75.7%)は全国3位で、世帯所得は多く、家族や親戚、地域のきずなが強い。地場証券社長は「1人に話をすれば、家族や親戚、ご近所に声をかけてくれ、営業がしやすい」と話す。まず1人を攻略し、その人的なつながりを利用して横に拡大するという「一点突破、平面展開」が福井でのビジネスの要諦だろう。

(福井支局長 森晋也)

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