福井市の歓楽街「片町」にあるヨーロッパ軒総本店。1924年にこのすぐとなりで開店した。

高畠さんが指南するおいしい食べ方はこうだ。丼のふたを裏返しに置き、カツ3枚のうち2枚を移す。ご飯の上の1枚を食べたら、ふたから1枚を取ってご飯の上に乗せてまた食べる。カツがご飯の湯気で湿気を帯びるのを防ぐ工夫だ。夕食時なら生ビールも注文したい。まず2枚のカツをつまみにビールを飲む。最後に1枚のカツとご飯で締めるのが、ここでの酒飲みの流儀だ。

福井のソースカツ丼は高畠さんの祖父でヨーロッパ軒創業者の高畠増太郎が考案した。1907年(明治40年)、18歳で日本料理人としてドイツ・ベルリンに渡った増太郎は甘くまろやかなウスターソースに出合った。「この味を日本の庶民に知ってほしい」。そう考えた増太郎は帰国後、ソースに合う料理をいろいろ試み、現在に伝わるソースカツ丼を確立した。1913年(大正2年)に東京・早稲田でヨーロッパ軒を創業し、その後、神奈川県横須賀市に移転した。23年の関東大震災で店が被災したため、故郷の福井市に帰って、翌24年に再開した。現在は総本店のほか福井市内に10店を展開する。

カツ2枚をつまみにビールを飲み、残りの1枚とご飯で締めるのも乙だ

モーツァルトでソース熟成も

小川家ではワンコインのソースカツ丼が人気で、持ち帰りもOK(福井駅前店)

福井では、そば店はじめ多くの飲食店がソースカツ丼を出しており、店探しに苦労することはないが、ワンコインで食べたいなら「小川家」がお薦めだ。いわば「ソースカツ丼のファストフード店」(運営会社パナクリエイトコーポレーションの小川善央会長)。福井市内に5店あるが、福井駅前店(福井市中央1の1の5)はJR福井駅の西口を出て1分とかからない。

一番の人気メニューはヒレカツが3枚乗った480円の「活気かつ丼」だ。もっと安い、大きめのロースカツ1枚の「元気かつ丼」(380円)もある。どんな効果があるのか定かではないが、特製ソースは「モーツァルトの音楽を聴かせて熟成している」(小川会長)という。越前おろしそばとのセットメニューもあり、一度の来店で福井の代表的な県民食2つを味わえる。

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