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歴史博士

空から降ってきた能面とネギ  面塚(奈良県川西町) 古きを歩けば(8)

2011/11/8

空に大きな音が響き、翁の面とネギが1束降ってきた。面は塚に納められ、ネギは周辺で栽培されて味の良さが評判になった――。奈良県川西町結崎には、こんな風変わりな伝説をもつ「面塚」がある。能楽を文化振興の軸に据える同町を訪ねると、伝説のネギ「結崎ネブカ」が旬を迎えていた。

■「観世流」発祥地の石碑

「面塚」と「観世発祥之地」の石碑が並び立つ面塚公園(奈良県川西町)

奈良盆地に広がる田畑の中を流れる寺川のほとり。堤防のたもとに「面塚」の石碑と、「観世発祥之地」と刻まれた石碑が立つ公園がある。石碑の建立は1936年。発祥之地の碑は二十四世観世宗家、観世左近氏の筆だ。河川改修で位置が変わり、67年に現在の姿になった。説明板などによれば、猿楽の大和四座の一つ「結崎座」は室町時代、結崎を拠点とした。その大夫(座を代表する役者)を務めたのが観世流創始者・観阿弥で、結崎に住んでいたという。公園を囲む玉垣には奉納した全国の観世流能楽師らの名が刻まれている。

猿楽は江戸期までの能楽の呼び方。古代中国から伝わった歌舞や曲芸などの芸能「散楽」が源流とされ、朝廷や社寺の祭礼などで余興として演じられた。平安期ごろから猿楽と呼ばれ、芸能集団「座」が組織されるようになる。室町時代、大和(奈良)で活動していた大和四座の一つ結崎座に観阿弥が加わり、芸能として洗練させた。足利義満に認められて座名も観世座と改め、息子の世阿弥と共に現在の観世流能の基礎を築いたとされる。

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