二階堂和美天真爛漫な雰囲気と研ぎ澄まされた表現力

ステージに登場した歌い手は満員の観客を見て感極まったか、ほほ笑みながら泣いていた。伴奏者はピアノを弾きながら、あふれる涙を何度もぬぐっていた。そして、何人もの観客が歌を聴きながら目を潤ませ、すすり上げていた。シンガー・ソングライター、二階堂和美の公演は、その場にいた誰もが無垢(むく)な心をさらけだしたような2時間だった。

1999年にCDデビュー。今年7月に5年ぶりのオリジナルアルバム「にじみ」を発表し、新作を引っさげて「にじみの旅」と題したライブツアーを敢行している。彼女の歌は聴き手に郷愁や切なさといった素朴な心情を思い起こさせる。ドラマチックな歌詞や切ないメロディーで盛り上げる、ステレオタイプの“泣ける歌”では決してない。

彼女が歌いつづるのは日常のよしなしごと。日々の淡い感情、心の機微を端正な日本語で表現してきた。フォーク、歌謡曲、ジャズなどの要素が混在するが、唱歌や童謡を思わせる親しみやすさ、素朴さを持っている。

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