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新進監督が台頭した「アジアの風」部門東京国際映画祭リポート(6)

2011/10/30

映画セレクション

東アジアから中東までの作品を取り上げる「アジアの風」部門。今年は長編映画を作ってまだ1、2作という新進監督が目立った。しかも見応えのあるものも多く、大きな潮流の変化を実感した。

フィリピンの「浄化槽の貴婦人」

とりわけ東南アジアの充実ぶりが目立った。近年、タイのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督やフィリピンのブリランテ・メンドーサ監督らがカンヌ国際映画祭などで主要賞を獲得。国際的に東南アジアの映画が注目される中で、彼らに続こうと若手監督らが活気づいている。今年の「アジアの風」部門でその象徴とも言えるのが、「フィリピン最前線~シネマラヤの熱い風」と題したフィリピン映画の特集だろう。

残念ながら日本の映画館でフィリピン映画を見る機会は限られているが、フィリピンはアジア有数の映画大国だ。シネマラヤ・フィリピン・インディペンデント映画祭(略称シネマラヤ)は、その名の通り年に一度のインディペンデント映画の祭典。「バラエティーに富んでいて質も高い。今やアジア映画の台風の目」(「アジアの風」プログラミング・ディレクターの石坂健治氏)という。

今年のシネマラヤのグランプリ作品でもある「浄化槽の貴婦人」は、貧困をテーマに映画を撮ろうと計画した3人組が主人公。3人は「貧民街の子だくさんの母親が金に困り、幼い息子を小児性愛の外国人のもとに連れていく」という脚本を書く。金持ちの外国人から見た“アジアの貧困”のイメージを逆手に取ろうとする3人のあざとさ、実はプール付きの豪邸に住む主演女優。笑いと皮肉を効かせ、「劇中劇」の表現手法もユニークな快作だ。マーロン・N・リベラ監督は舞台演出を経てこの作品で映画監督デビューを果たしたという。

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