金って価値が高いの?

「夏に金のネックレスを売ってよかったわ。今は少し安くなっているのよね」。近所の主婦の話に探偵の松田章司が反応した。「歴史的な高値から一転して急落したけど、金は本当に高い価値があるのかな」。小学生の伊野辺詩音と調査に出た。

金のアクセサリーを売却する人が今も目立つ(GINZA TANAKA銀座本店、東京都中央区)

まず金の価格を調べた。世界的な指標となっているニューヨーク市場の先物価格は現在、1トロイオンス(約31グラム)あたり1600ドル程度と10年前と比べ6倍近い水準。9月には1923ドルの史上最高値を付けたが、その後、10%以上も下がった。

金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎さん(55)に問い合わせると、「最近は投機的な売買も多く、値動きが大きくなっています。ただ、インドや中国はよく買っていますね」と答えてくれた。英調査会社、ゴールド・フィールズ・ミネラル・サービシズのまとめでは、インドは昨年、ネックレスなど金の宝飾品の購入量を前の年より40%増やした。中国も20%多かった。

「預金より得」

「なぜ金が好きなんですか」。経営コンサルタントのラビーン・ガンジーさん(30)に聞くと「インド人は貧富に関係なく、結婚式では新郎新婦が金の指輪やアクセサリーで身を飾ります」と教えてくれた。正月に金を買うと幸せになるともいわれているそうだ。

「中国では預金より得だと考える人が増えています」と、野村資本市場研究所の関志雄(かん・しゆう)さん(54)。中国ではモノやサービスの価格が年6%ほど上昇しているが、預金金利はこれより低い。預けていても資産の価値が目減りするので、換金しやすい金にするのだという。

「経済成長している国が欲しいと思っているのに、価格はなぜ急落したんだろう」。金の売買を長年手がけるスタンダードバンク東京支店長の池水雄一さん(48)に尋ねると「景気の先行きが不透明になり、大きな資金を動かしているファンドなどが一斉に売却しました」と説明してくれた。株式などが値下がりするなか、最近まで上昇し続けていた金市場からもお金を引き揚げたわけだ。