モテキミュージカル喜劇の爆発力

人生において異性にモテる時期を「モテ期」というそうだ。どんなにさえない男でも女でも、そういう期間が一人ひとりにあるらしい。

「モテキ」の一場面  (C)2011映画「モテキ」製作委員会

この映画はサブカルチャー好きの草食系男子で、金もなければ風采もあがらないという、どうしようもない31歳、藤本幸世(森山未来)が突然、もてはじめるという物語。テレビ東京の深夜ドラマにもなった久保ミツロウの同名漫画の映画化だが、これがちょっと面白い喜劇なのだ。

滑り出しからテンポは快調だ。もてない男を演じる森山未来が街をさまよう、その背景に文学作品や流行歌やらの字幕が次々と流れる。これに音楽が乗ってくる。音楽と字幕と映像の取り合わせ。要はカラオケビデオである。森山未来のみじめな心情は大江千里の「格好悪いふられ方」そのものであり、寂しい中年OLの麻生久美子は1人っきりでカラオケルームにこもりB’zメドレーを熱唱する。

極め付きはPerfumeの「Baby cruising Love」に乗って、うきうき気分の森山未来が街の中で突然、踊りだす場面。道行く人たちも一緒に踊りだすミュージカルシーンのカタルシスは、この映画の白眉だ。瀬川昌治監督の傑作ミュージカル「乾杯!ごきげん野郎」(1961年)の記憶がよみがえった。

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