2011/8/17

クローズアップ

シンガー・ソングライターの山下達郎さん

(5)【プロポーズ】

結婚退社した事務所の女性スタッフに触発された。「30代の男女の恋愛を描くのに、57歳の僕が想像で書くと作り物になってしまう。でも彼女の話を聞き、自分の体験もフラッシュバックして新鮮だった。僕の曲は実体験を基にした私小説が多いけれど、この曲は取材して書く文筆家的な手法。新機軸です」

(6)【僕らの夏の夢】

2009年に公開されたアニメ映画「サマーウォーズ」の主題歌。舞台は長野県上田市で、第2次大戦末期につくられた松代大本営(長野市)のイメージが浮かんだという。「18歳のころ、松本市と上田市を結ぶ国道143号線をバスで通った時、とても長い直線が印象に残った。後で松代に大本営が移った時に備えて、飛行機の滑走路にするつもりだったと聞いた。そんなイメージから『零戦が空を飛ぶ』という歌詞が浮かんだ」

「池袋で生まれ育ったけれど、先祖は高遠(長野県伊那市)なんです。日本の夏は蝉時雨というように、静謐な印象がある。静けさを出そうとワルツのリズムを使った」

(7)【俺の空】

久しぶりに手掛けたファンク曲。突然、家の前に高層マンションやオフィスビルが建ち、空が見えなくなり怒りが爆発する。「まずオートチューンを使いたいというのがあって、テーマを探したら、この歌詞に。僕と友人の実体験が混じっている」。オートチューンは音程の狂いを補正するソフトだが、最近はテクノポップユニットのPerfumeなどが音響効果装置として使い、脚光を浴びている。

音質にこだわり抜く職人。ハードディスク録音の普及で重厚なファンクを録りにくくなったと嘆く。「ファンクやヘビーメタルは音がひずむのが大切なのに(デジタル録音・編集システムの)プロ・トゥールスは音が全部きれいになって厚みが出ない。だいぶ慣れてきたけれど、まだまだ七転八倒。1メートル46万円のオーディオケーブルを試したり、スタジオの機材だけで家1軒分以上費用をかけてます」

(8)【ずっと一緒さ】

08年のテレビドラマ「薔薇のない花屋」の主題歌。「『希望という名の光』とは逆で、頼まれて書き直した曲。ボツになる曲も多いんですよ」

(9)【HAPPY GATHERING DAY】

かけがえのない友情がテーマ。「43年付き合っている中学時代からの友達が2人いる。会えば昔に戻れる。親友ってそういうもんでしょう」

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