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ライフコラム
エコノ探偵団

2011/8/8

エコノ探偵団

山内さんは「収入を得ることが目的ではないので、正確につかむことはできません」と切り出した。家事と同じように社会に欠かせないものだが、国の経済活動の規模を表す国内総生産(GDP)には、ほとんど反映されない。

そこで、山内さんは経済価値を試算した。2009年に国内でボランティア活動に費やした時間は59億時間に上る。同じ仕事を専門業者に頼むと仮定し、必要な時給を掛け合わせるとおおよその価値が分かる。その額は10兆円。GDPの2%に相当する。内閣府は家事の価値を75兆~109兆円とはじき出している。

震災で延べ59万人

全国社会福祉協議会(東京都千代田区)が把握しているだけで、東日本大震災の被災地では、延べ59万人が家具の片付けや掃除などに携わった。仮に日当を1万円とすると、4カ月強で59億円分働いたことになる。しかも「人が集まり、周辺のホテルや飲食店の客も増えています」(企業情報を分析する帝国データバンク仙台支店)。消費など波及効果もありそうだ。

同協議会によると、ボランティア活動の参加者は09年で730万人と、20年間で2倍弱になった。1995年の阪神大震災では200万人以上、04年の新潟県中越地震でも多くの人がボランティアを経験し、日本でも根付いてきた。

「国や県が同じことをしてもよさそうだけど」。詩音の疑問に民間の活動を支援する日本NPOセンター(同)の田尻佳史さん(46)が答えてくれた。「行政が対応しない要望に応えるのがボランティアです」

仮設住宅を提供するのは自治体の仕事だが、入居後の生活相談はボランティアが活躍する。家の清掃や解体作業も、県などがすべて面倒をみるわけではない。「行政の活動には法律や予算が必要で手間取りがち。それを待たずにすぐ動けるのも強みです」

「参加者が増えた理由は?」。矢継ぎ早の質問に、人の心の動きと経済の関係を研究する産業能率大学の安達隆男さん(54)が教えてくれた。「経済的な豊かさではなく、他人や社会のために何かしたいという思いは強くなってきました」

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