働き方・学び方

イチからわかる

「風評被害」の加害者って誰?

2011/6/27

「最近、よく『風評被害』っていう言葉を聞きますが、『被害』というなら加害者は誰なんでしょうか」。近所の大学生の疑問に、探偵の松田章司が首をかしげた。「確かによくわかりませんね」。小学生の伊野辺詩音と一緒に調査を始めた。

「風評被害ってどういうこと?」。詩音が国語辞典(広辞苑第六版)を調べると「風評」は「世間の評判。うわさ。とりざた。風説」、「風評被害」は「風評によって、売上げ減などの被害を受けること」だという。

安全でも価格下落

「原子力発電所の事故で放射性物質の汚染が取りざたされ、売り上げが減ったという話をよく聞くね」。章司と詩音は農林水産省に向かった。消費・安全局の担当者に話を聞くと「実際には安全な農産物や水産物まで『風評』によって出荷できなくなったり、価格が下がったりする例が相次ぎました」という。

「野菜や魚を買う人たちはどう考えているのかな」。東京都江東区の食品スーパーをのぞくと、野菜や魚はそれぞれの商品の値札に「○○県産」と産地が書いてあった。買い物をしていた主婦(34)は「小さな子どももいるので、放射線は気になります。産地がはっきりしないものは買いたくありません」と話す。

過去にも、食中毒の発生などをきっかけに野菜などの売り上げが大幅に落ち込んだ事例はある。しかし、今回は被害を受けた生産者が多く、作っている地域も広い。外国も日本からの食品輸入を制限している。

「中国や韓国からの観光客もすごく減ったって新聞で読んだわ」と詩音。東日本大震災の被災地から遠く離れた京都や九州でも海外からの観光客が激減。日本から輸出される工業製品が、放射性物質に汚染されていない証明を求められる事例もある。「根拠に乏しい風評のために敬遠されたりボイコットされたりするのは困るよな。そうすると、野菜や魚を買い控える人や、輸入を規制する国が『加害者』なのかな」

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