ブームで出版続々 子ども向け辞書、人気の秘密

小学館は表紙を1冊1冊手作業で仕上げた

表紙もかつてはコストを抑えた紙製が主流だったが、「辞書引き」の影響から小型版はすべて大人向けと同じ合成樹脂製になった。小学1年から知っている単語を辞書でどんどん引かせ、自主的な学習習慣を身に付けさせる「辞書引き」では、引いた語に付箋を貼り成果が目に見えるようにする。硬い紙製では開きにくく、また付箋が大量になると壊れてしまうこともあった。

樹脂製の柔らかい表紙は開きやすく、また紙製より軽い利点がある。旺文社などは「PUR」という特殊な糊(のり)で全ページを固定する製本を採用、開きやすさと丈夫さを両立し付箋をたくさん貼っても耐えられるようにした。付箋を貼るための広い余白を確保したのも各社新版の特徴。三省堂の学習漢字辞典ではページ表示を付箋で隠れない位置に動かすなど、レイアウトの工夫も凝らされている。漢字辞典は国語辞典のように五十音ではなくページ数で引くため、これまでは付箋でページが隠れてしまう難点があったという。

新たに専用のフォント(印刷書体)を開発した社もある。小学館では「“さ”“令”など手書きと印刷字体が食い違っていると子どもは混乱する」(コミュニケーション編集局・神永暁編集長)との配慮から、手書きの形に近いフォントを製作。旺文社では小さい字に慣れていない低学年の子どもでもなじめるよう太く大きな字を用い、文英堂は親しみやすいゴシック系の字を使用するなどこだわるポイントはさまざまだ。2色刷りで使う赤色に、色覚障害があっても見づらくならない特別な色を採用した社もある。