ブームで出版続々 子ども向け辞書、人気の秘密

小学生向け学習国語辞典の出版が花盛りです。少子化にもかかわらず、販売部数はここ数年右肩上がりの勢い。各社工夫を凝らした辞典は子どもに限らず外国人や大人が自分のために購入するケースも見られます。いまどきの学習辞典の進化とは――。

販売量10年で3.5倍

書店の店頭に積み上げられた小学生向け学習辞典(東京都内)

新学期に入り親子連れでにぎわう都内大型書店。子ども向け書籍売り場の一角には特設コーナーが設けられ、10社近くの学習辞典が並んでいる。昨年11月の常用漢字表改定、今年4月の新学習指導要領の実施に合わせ出版各社は小学生向け学習辞典を改訂し、最新版が出そろった。

少子化・出版不況のなか小学生向け学習辞典は「辞書市場として唯一の拡大ジャンル」(旺文社)といわれる。小学館では辞書全体に占める小学生向け辞典の売り上げが2008年に5割を突破、社の最重点商品として広告・宣伝にも力を入れる。三省堂では漢字辞典などを合わせた学習辞典の販売量がこの10年で3.5倍に増加し、学研教育出版でも最新版が発売から3月までで前年同期比2.4倍の売り上げとなるなど、各社とも売れ行きは好調だ。

こうしたブームのきっかけになったのが深谷圭助・中部大准教授が提唱する「辞書引き学習法」。三省堂も3.5倍の販売増のうち、この学習法が深谷氏の著書で紹介された06年以降の伸びが2.5倍と大きい。好調な売り上げが続くことで改訂の投資が促され、辞書の改良がすすむ好循環が起きている。

2~3割軽量化

今回の改訂では「辞書引き学習法」を意識した出版社の工夫が随所に見られる。辞書の内容だけでなく、使用する紙から表紙素材、製本まで各社こだわりがあるようだ。

辞書を手にとってまず気付くのはその軽さ。各社ページ数を増やしながらも旧版に比べ2~3割軽量化し、大型版でも1キロ前後の水準に抑えている。小学館では、これまで子どもの扱いに耐える書籍用の紙を使っていたが、一般辞書向けの紙に近い手帳などに使われる薄手の紙に変更、約25%軽量化した。旺文社など新たに専用の紙を開発した出版社もある。三省堂は微量の金属を混ぜたコシのある紙に改良し、小学生の手でもめくりやすくした。