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電気・畳にトイレットペーパー…なぜ違う東西の規格

2011/4/4

「首都圏は電気不足の停電で大混乱したけれど西日本の電気はあまり回してもらえないと聞いたわ」。小学生、伊野辺詩音の話に探偵の松田章司が興味を示した。「東西で別々のものって色々ありそうだね。一緒にできないのか調べてみよう」

東は独、西は米製

東日本大震災で電力供給体制の課題が浮き彫りに(計画停電で大混雑するJR新宿駅、3月14日)

2人はまず電気に詳しい電力中央研究所を訪ねた。応対してくれた七原俊也さん(56)が「東日本と西日本では電気周波数が違うのです」と説明を始めた。家庭の電気は1秒間に何十回もプラスとマイナスが入れ替わる。この回数をヘルツという単位で表したのが周波数で、東日本では50ヘルツの電気が流れ、西日本は60ヘルツ。周波数を変えないと電気を西から東に送れない。

世界のほとんどの国では周波数が統一されている。欧州の国はおおむね50ヘルツ、米国は60ヘルツだ。日本が東西でバラバラになったのは、電気を使い始めた明治期にさかのぼる。東日本の電力会社は50ヘルツのドイツ製の発電機を輸入し、西の電力会社が60ヘルツの米国製を使ったことが今に続いている。

「大阪に行っても周波数が違うなんて気づかなかったぞ」。章司が首をひねると「最近の電気製品は東西両方の周波数に対応しているからです」と七原さん。数十年前まで冷蔵庫や洗濯機も東西どちらかでしか使えないものが主流だった。

今では家電ではそのような不便がほぼなくなったが産業用の設備は対応しておらず、工場の機械も片方でしか使えないものが多い。このため両地域をまたがって走る東海道新幹線では、使う電気の周波数を西側の60ヘルツに統一。東海旅客鉄道が、東日本地域を通る新幹線車両に自前の変電所から60ヘルツの電気を流している。

「なぜ東西で一緒にしないの」。詩音の質問に関西電力の担当者が説明してくれた。「統一すると想像も付かないほど巨額の費用がかかります」。どちらかの周波数にするともう片方の周波数で動く機械が使えなくなるのだ。規格統一の話は過去にも浮上したがそのたびに立ち消えになった。

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