手早くできる調理法
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「味付け済み」上手に活用
被災地の苦労とは比べものにならないが、計画停電で列車のダイヤが乱れ、首都圏を中心に通勤や買い物などに影響を及ぼしている。いつもより朝早く出かけたり、夜遅くなったり、生活も不規則になりがちだ。忙しい中、手早く料理する方法をまとめた。
「缶詰や瓶詰、レトルト食品などをうまく使うと調理時間が減らせる」というのは栄養士で料理研究家の幾田淳子さん。そのまま食べるだけでなく「下準備なしで様々な料理に使える」ためだ。光熱費の節約にもなり、保存もきくので、買い物の手間も減らせる。
例えば、瓶詰のなめたけは普通はご飯のお供。だが、1瓶に水、溶きほぐした卵4つをまぜ、塩小さじ2分の1を加えて大きな容器に入れてラップをして電子レンジにかければ、大きな茶わん蒸しになる。
料理研究家の島本美由紀さんも「レトルトや缶詰は味付けが終わっているので使いやすい」と話す。焼き鳥缶はトマト缶とあわせバターを加え、いため煮にするとハヤシライス風になる。
「固定観念を捨てて、加工食品を食材と考えれば料理の幅が広がる」と島本さん。冷凍のハンバーグやギョーザは「調理済みの肉」と考えてみる。例えば、冷凍ギョーザは崩してチャーハンの具として使える。
もちろん、加工食品ばかりでは、不足する栄養素もある。例えば、レトルトカレーにジャガイモでビタミンCを補給し、牛乳を飲めば効率よくカルシウムもとれる。ビタミン類が豊富なトマトやミネラル分が多いヒジキなどを一品加えるだけでもいい。
福岡女子大学の早渕仁美教授(栄養健康科学)は「コンビニ総菜などでビタミンやミネラルを補えば、栄養にも気を使いつつ手早くおいしく食べられる」と話す。
気になるのが停電になった場合の冷凍食品だが、日本冷凍食品協会によれば、3時間ほどなら冷凍庫を開けなければ大丈夫という。
非常時、乳幼児や高齢者に配慮を
インスタントやレトルトなどの加工食品は災害時などに備え、保管している家庭も多いだろう。ただ、体力や気力の維持が重要な非常時こそ、できる限り食事に気を配り、健康面に配慮したほうがいい。2004年に起きた中越地震の経験を踏まえ、新潟県がまとめた「災害時栄養・食生活支援活動ガイドライン」のポイントを紹介する。
発育・発達のための栄養素が必要な乳幼児の場合は、食事の回数をできるだけ多くしたり、間食を与えるなどしたほうがいいという。ストレスにも注意し、食欲が減退しないようにすることも必要だ。
高齢者が気をつけたいのは脱水だ。夜間にトイレに行くのを避けるために水分摂取を少なくする人もいるが、水分が失われてくると、疲労感や食欲不振につながってくる。できるだけ、食事以外でも水分の補給に努めたい。
また、災害の際には環境や生活リズムの変化で、便秘になる人が少なくない。野菜やキノコ、海草などの食物繊維を摂取するとともに、水分も1日1リットル以上はとったほうがいいという。
非常食に詳しい新潟大学の別府茂客員教授は「加工食品でも肉や魚、野菜など多くの種類があるので、バランスよく用意しておきたい。自分が好きな食べ物があれば非常時のストレスの軽減につながる」と話している。
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