「医食同源」ってどんなもの?

2011/3/14

Q 漢方の根本的思想といえる「医食同源」という言葉は、中国のどの時代の書物が出典なのでしょうか。日本にはいつごろ伝わり、一般でも使われるようになりましたか。

A 意外に思われるかもしれませんが、「医食同源」は古代中国で生まれたものではありません。1970年代に入って、栄養第一主義の欧米食文化への反省や、日中国交回復を機にした中国文化の再認識の中から、中国式食養生が日本でもブームになりました。この時に使われた言葉が「薬食同源」や「医食同源」で、日本での造語です。

古代中国では医師を4ランクに分けていました。周王朝の制度習慣を紹介した「周礼(しゅらい)」によると、最高位の医師は「食医」、すなわち、王の食事の調理・管理を任されていた医師です。食医に次ぐランクは「疾医(しつい)」で今の内科系医師、次は「瘍医(ようい)」で今の外科系医師で、4番目が獣医でした。「薬」としての「食」の重要性が指摘されており、その意味で「医」や「薬」が食と「同源」という思想は中国医学の根幹をなすものであったことは事実といえます。

現在の日本の漢方治療においても、桂枝(けいし、シナモン)、生姜、大棗(たいそう、なつめ)、小麦、玄米など日常的な食材が漢方薬の素材になっており、薬と食が「同源」であることは疑いありません。

(北里大学東洋医学総合研究所所長 花輪壽彦)

花輪壽彦(はなわ・としひこ) 1980年、浜松医科大学卒業、浜松医大第一内科にて研修。82年、北里研究所東洋医学総合研究所に移る。同研究所漢方診療部長、所長補佐を経て、96年に同所長。2008年4月、研究所と大学の法人合併により、北里大学東洋医学総合研究所所長、および同大学院教授(東洋医学)。厚生労働省薬事食品衛生専門委員、世界保健機関(WHO)伝統医学協力センター長などを兼務。山梨県出身。
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