つり革の不思議 なぜ○や△があるのか編集委員 小林明

とっても身近な存在なのに、普段、その個性をあまり意識していないものは意外に多い。たとえば通勤電車などの「つり革」はその代表例だろう。形状、ベルトの長さ、材質などまさに千差万別。しかも、その背後には様々な謎やうんちくも隠されているという。今回はつり革の奥深い世界について紹介しよう。

取材したのは「つり革マニア」として知られる浮穴仁(うけな・ひとし)さん。2005年末から250種類以上のつり革を調べ続けているそうだ。「調べれば調べるほど奥が深くて飽きることがない」とその魅力について熱っぽく語る。

写真1(浮穴さん提供)は国内で見かけたつり革の数々である。それぞれかなり個性的だという事実に改めて驚かされる。

まず形状。円形だったり、お結びのような三角形だったり、縦長の二等辺三角形だったり……。黒いボール型やミッキーマウスの耳が付いているものもある。色やベルトの長さなどもそれぞれに異なる。都営地下鉄三田線などのようにつり革の高さを交互に変えているのは「様々な身長の乗客が持ちやすくするための工夫だろう」と浮穴さんはいう。

海外編の写真2(浮穴さん提供)を見ると、さらに種類が広がる。

マルタ島のバスはグルグル巻きの縄がぶら下がる野性的なタイプ。マカオのバスは透明な四角形、豪州の路面電車はイカリ型、タイの鉄道は鮮やかな赤いベルト。インドや韓国の地下鉄ではベルトの部分がバネになっており、ドバイのバスは指の形に合わせて取っ手を波打たせている。

「形状、材質、色、長さに加えて、使用状況なども観察すると面白い。長年、使い込まれたつり革を見ると『おまえも頑張ってきたんだなあ。お疲れさん……』と思わず声をかけたくなる」と浮穴さんは苦笑する。

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