くらし&ハウス

暮らしの知恵

ネット一役、変わる定番の味 回転ずし「全品さび抜き」も 食 これって常識?(下)

2011/2/16

だし汁を飲める「日本橋だし場」にはひっきりなしに客が訪れる(東京都中央区)

昔からある料理でも、定番の味にはこだわらない人が増えている。クックパッドの桜井友希代さんが最近注目しているレシピが、イタリア料理で使うバルサミコ酢を使った「バルサミコきんぴら」だ。「イタリア料理のために買っても結局使い切れない人は多いのでは。捨てるのがもったいないので和食に活用し、自己流レシピを生み出している」。ネットで活用法がすぐに見つかるため、新しい食材・調味料に挑戦する抵抗感は下がっている。

以前から家庭にあった調味料にも同様の傾向が見られる。エスビー食品の調査では、カレーライス以外の調理にカレー粉を使う頻度が2008年から10年にかけて55%も増えた。

昨年流行した具材の多い“食べるラー油”は、ご飯にかけたり、いため物に加えたり、幅広い用途が支持された。味香り戦略研究所(横浜市)の菅慎太郎さんはこういった万能調味料を「スーパー調味料」と名付け「これからも新顔が登場するだろう」と予想する。

“だしバー”脚光

伝統的な和の調味料や食材に対する、消費者の価値観が変わりつつある。

ワサビは食べる直前につけてお召し上がりください――。回転ずしチェーン「くら寿司」では、全国264店すべてのすしが「さび抜き」だ。家族連れが多いため全店でワサビを抜いたのは08年。各テーブルにワサビを入れた容器があり、必要な人は自分でつけるか、しょうゆに溶く。

毎週テニススクール帰りに立ち寄るという、東京都在住の久我喜美子さん(46)は「さび抜きならそのまま食べる。すしには絶対ワサビとのこだわりはない」。

運営するくらコーポレーションの服部猛さんは「全店さび抜きに苦情が来るのではと心配したが、1件も無い」と胸をなで下ろす。客からはさび抜きといちいち注文する必要がないと好評。ここではさび抜きが「常識」になりつつある。

かつお節店「にんべん」が昨年10月に設けた、だしを飲めるカウンター「日本橋だし場」(東京都中央区)には、買い物客や通りがかりの会社員がひっきりなしに訪れる。

埼玉県から来た女性(39)は「こんなにカツオの香りがするなんて」と驚く。仕事の合間に何度も来店している男性(58)は「この澄んだ味がいい。二日酔いの朝には格別」と満足げだ。

だしが和食の基本であるという常識。そこから遠ざかっている現代の消費者には、新鮮に映る。

くらし&ハウス 新着記事

ALL CHANNEL