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ライフコラム
ことばオンライン

2011/2/8

ことばオンライン

「辞書になくても意味が通じ、よく使われるのが興味深い」と話すのは現代語の用例採集で知られる飯間浩明・三省堂国語辞典編集委員。「東京都千代田区永田町1の1」には日本の測量の基準となる「日本水準原点」があり、日本初の西洋風ホテルである帝国ホテルが建つのは「千代田区内幸町1の1」。1丁目1番地はいわゆる「一等地」の場合が多く、「一丁目一番地」には重要なもの、原点というイメージがあるのかもしれません。

民主党と連立を組む国民新党に対して、菅直人首相が「百丁目百番地まで共に歩みたい」と発言したことがありましたが、2番地、3番地と続いていく順番をイメージしやすく優先順位を表現するのに便利という面もありそうです。「丁目」「番地」とことばを重ねることから、優先するなかの特に最優先すべきものとして意味を強調する効果や、「一」「一」と韻を踏んでリズムがよい点も広まる理由として考えられます。

政権交代以降、民主党政権が「一丁目一番地」と呼んだものを見ると、地域主権や子ども手当、公務員削減といくつも出てきますが、菅内閣の「政策課題一丁目一番地」はいったいどこにあるのでしょうか。便利なことばに踊らされず、しっかりビジョンを示して取り組んでいってほしいものです。

(若狭美緒)

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