サイトで悩み解消 広がる育児の知恵袋
子連れ外出しやすく
「子どもと2人で遠出するのも苦じゃなくなった」。東京都江戸川区に住む小川裕子さん(30)は1月半ば、1歳10カ月の長男・家朋くんをベビーカーに乗せて高校時代の友人宅に赴いた。2度の電車の乗り換えに、バスへの乗り継ぎが必要。1時間以上かかり、ベビーカーでの移動には近いとはいえない。
「以前なら移動が大変だと、泣く泣くお誘いを断ったかもしれない」と話す小川さん。子連れ外出のハードルを下げたのは経路検索サービスのナビタイムジャパン(東京・港)が2010年10月から提供を始めた「子育て応援特集」だ。
ホームと改札口をつなぐエレベーターに乗るための最短ルートや、おむつ替えのできる多機能トイレの場所を携帯電話で検索できる。駅から目的地まで雨や日差しを避けられるアーケードや地下街のルートも紹介。近隣で今すぐ診療してもらえる医療機関を探すこともできる。
子育て支援サイトは続々と拡充されている。27日に「ハッピーノート ドットコム」を開設したのはミキハウス子育て総研(大阪府八尾市)。「ゴーゴー育児 ドットコム」を全面刷新した。医師や保育士ら専門家による育児関連のコラムを掲載するほか、ユーザーの個別相談にメールで回答するなどサービスはきめ細やかだ。
草分け的存在の「ベビカム」を運営するデジタルブティック(東京・中央)は10年10月から携帯サービス「らくらくモバ育」を始めた。妊娠を望む女性や妊婦の体調変化を記録する機能を搭載。子育て記録を家族で共有してコメントを寄せられる。
48万人超の会員数を持つ「ベビータウン」はユニ・チャームのほか、粉ミルクの和光堂、千趣会、ソニー生命の4社が共同運営する。サイトから育児用品を購入可能で、たまったポイントを景品に交換できる。
成長に合わせた離乳食のレシピや人生設計の情報など各社が抱える専門家のコラムを掲載。「月齢別育児大百科」では、月齢ごとに出合う用語や育児方法を解説する。「初産では知らない用語も多い。育児辞書のような存在となっているのでは」(ユニ・チャーム)という。
一方、ベネッセコーポレーションの女性専用サイト「ウィメンズパーク」は、口コミ情報が2600万件を超える。妊娠・出産や子育てについても、専門家ではなく、先輩ママや同じ月齢児の母親と悩みを相談しあえる。
子どもの性格や成長の遅れ、母乳の出方など、友人や家族に相談しづらい悩みも多い。「悩みを1人で抱えて思い詰めてしまう母親も少なくない。匿名性の高いネットだからこそ、『同じ環境の母親同士で相談できて救われた』という利用者の声も目立つ」(同社)
父親視点の解説も
女性向けサービスが中心の子育て支援サイトだが、「イクメン」(育児をする男性)向けのコンテンツも増えつつある。粉ミルク大手の明治乳業の「ほほえみクラブ」ではミルクの飲ませ方などを父親の視点で解説する「新米パパの子育て手帳」を掲載。「赤ちゃんとどうやって接したらいいかわからない」といった父親ならではの戸惑いの解消方法などを紹介している。
小川さんは「試行錯誤しながら子育てをしてきて、ようやく最近親になってきた気がする」と話す。最初から子育て上手な親になれる人はいない。ネットを賢く使い、家族で楽しく子育てを学ぶのがよさそうだ。(電子報道部 岡田真知子)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。