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「アメフト」と「アメフット」 東西で地域性の違いも?

2010/12/28

 アメリカンフットボールの日本一決定戦「ライスボウル」は1月3日、社会人王者のオービックと学生王者の立命大とで争われます。さてこの競技、「アメフト」と呼ばれたり「アメフット」と呼ばれたりしますが、どういう事情によるのでしょうか。
甲子園ボウル(写真は2010年の様子)の通算成績で優位に立つなど、関西での人気は高い=共同

 国語辞典を引いてみるとアメフトはまず載っていますが、アメフットは三省堂国語辞典(第6版)にアメフトの補足として、学研現代新国語辞典(第4版)にアメフ(ッ)トとして載っている程度。世間一般で最も通用するのがアメフトであるのは間違いありません。

 それが関係者になると話は違ってきます。「アメフットを使うようにしており、アメフトは使ってほしくない」(日本アメリカンフットボール協会)。事実、用字用語集で「短縮形はアメフット」と定めている新聞社もあります。理由はフットボールをフトと略すことへの違和感に尽きるでしょう。例えば米大学リーグを指すカレッジフットボール、2011年度から小学校体育の学習指導要領にも掲載されるフラッグフットボールなどは「~フット」と略すことはあっても、「~フト」とは略しません。国内唯一の専門月刊誌「タッチダウン」1984年12月号の後藤完夫発行人(当時)のコラムによると、75年ごろある一般週刊誌が「アメフト」と表記したのがきっかけとなり、「ッ」抜き表記が広まったそうです。アメフトが定着した背景に、字数も音(おん)も少なくて済むからという単純な動機も否定できません。

 アメフットと略す人が比較的多いといわれるのが関西。上記とは別の新聞社が運動面の記録コーナーの見出しで、関西版だけアメフットを使っているという事例もあります。日本協会もこうした傾向は認識しているそうで、関西特有の人気の高さとの関連を指摘します。「(甲子園球場で)学生王者を決める甲子園ボウルが開催されるだけではなく、関東に負けてなるものかという東西対抗の意識を呼び覚ますことが、他の地域と比べた競技の人気につながっている」(日本協会)ため、地元マスコミなどでの扱いも関東とは段違いに手厚くなり、自然と関心が高まります。それだけ熱心なファンも多いわけで、より専門的・本来的な呼称を守る人が増えたのではないか、と考えられるというわけです。

(中川淳一)

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