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辞書の世界に変化 「ポルトガル語辞典」出版相次ぐ

2010/12/17

2010年に入り「現代日葡辞典コンパクト版」(小学館)、「日本語 ブラジル・ポルトガル語辞典」(三省堂)と日本語・ポルトガル語(日葡=にっぽ)辞典の出版が続きました。日本ではあまりなじみのない外国語ですが、出版の背景にはポルトガル語を母語とする在日ブラジル人の増加があります。労働人口のグローバル化が、辞書の世界にも影響を及ぼしています。

「同僚のブラジル人に通訳している」「妻がブラジル人でポルトガル語を勉強中」――。今年日葡辞典を出版した小学館、三省堂には読者から感想が続々と寄せられている。なかでも目立つのは辞書のコンパクトさや手ごろな価格を歓迎する声。ポルトガル語を専攻したり研究したりする学術目的ではなく、身近に暮らす在日ブラジル人とのコミュニケーションのために購入する人が多いのが特徴だ。

「在日ブラジル人との交流やインターネットなどを通じ、個人レベルでポルトガル語を使う機会が増えている」と話すのは小学館外国語編集・佐怒賀正美編集長。三省堂外国語辞書第2編集室・宇野由美子氏も「増加する在日ブラジル人との『共生』に役立つ、日常に焦点を当てた手ごろな辞書を目指した」と出版の狙いを話す。

1990年、出入国管理法の改正で日系外国人が就労制限のないビザを取得できるようになり、来日する日系ブラジル人が急増。09年末時点で日本に暮らすブラジル人は約27万人、20年前の約20倍の規模となっている。自動車メーカーなど製造業の工場が集積する地域に多く、愛知県をはじめとする東海地方や群馬県などの北関東に全体の半数以上が住む。在日ブラジル人の増加に伴い、日常生活で使いやすいコンパクトな日葡辞典を求める声が強まったのを受け、在日ブラジル人人口がピークを迎えた00年代半ば、小学館、三省堂で今回の出版の準備が始まった。

「日本語を書けなくても話せる」人のために

両社の辞典を開くと、日本人とブラジル人が実際に会話する場面を想定した工夫が目に入る。小学館の「現代日葡辞典」は、日本語からポルトガル語の単語を探すために使うだけでなく、ポルトガル語圏の人が日本語の意味を調べる用途も考慮。見出し語にローマ字を併記し、ひらがなが読めなくても発音さえできれば辞書が引けるようにした。さらに例文にもローマ字を付け、そのまま読んで話すことができるようになっている。

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