そぞろ歩きが楽しい温泉街
何でもランキング
外湯訪ねてカランコロン
いよいよ師走。寒い季節には体が温まる温泉がぴったりだ。町並みに風情があり、共同浴場(外湯)や店が充実しているそぞろ歩きが楽しい温泉街を専門家に選んでもらった。
温泉街を歩く楽しみの一つは外湯めぐりだろう。1位の城崎温泉には7つあり、洞窟風呂の「一の湯」、庭園風呂の「鴻の湯」、ガラス屋根の「御所の湯」などいずれも個性的。日帰り入浴用の共通券もあり、気軽に楽しむことができる。
2位の渋温泉には泉質が異なる9つの外湯がある。うち日帰り入浴できるのは「渋大湯」だけだが、宿泊客はすべてに無料で入れる。複数の外湯を無料で開放しているところもあり、3位の草津温泉には18カ所、9位の野沢温泉には13カ所、そうした浴場がある。
このほか10位内の温泉街にはいずれも魅力的な外湯がある。住民が利用する施設も多く、地元の人と話しながら入るのも楽しい。ただ、本来は観光客向けではない外湯も多いので、勝手に水で薄めないなどマナーには注意しよう。
古い町並みも趣がある。10位内は開湯千年以上のところが大半で、最も新しい7位の銀山温泉でも数百年の歴史がある。江戸時代に栄えたところも多く、3位の草津は当時の温泉番付で東の大関(当時の最高位)、5位の有馬は西の大関だった。現在の建物は大正以降のものが多いが、歴史の厚みが風情ある雰囲気を醸しだしている。
もちろん、カフェや工芸品店など新しい店もできている。新名物も登場しており、有馬温泉の「てんぷら」はさつま揚げのことで、和製ファストフードとして親しまれている。銀山温泉の「カリーパン」は大正ロマンの雰囲気が残る温泉街らしい新名物として人気だ。古い町並みの中、浴衣姿でげたの音を響かせながら外湯を回り、途中でカフェや名物を味わう。街全体を楽しむ温泉のテーマパークともいえる。
黒川など自然の中の温泉街も
ランキングの上位にはにぎやかな温泉街が並んだが、自然に囲まれた静かな温泉街を推す声も多かった。その代表が、黒川温泉(熊本県南小国町)だ。大分県との県境に近い山間部にあり、川沿いの雑木林の中に旅館や店が点在する。温泉街共通の「入湯手形」を買えば、旅館3軒の露天風呂に入浴が可能で、森林浴を楽しみながら、温泉につかることができる。
北海道では切り立った峡谷に囲まれた層雲峡温泉(北海道上川町)の名もあがった。1月には氷のトンネルなどをライトアップする祭りもある。
山奥の湯治場、肘折温泉(山形県大蔵村)を推す声もあった。冬は雪見風呂を楽しめ、4~11月には「毎日、地元農家の朝市が立つ」(野口さん)。
調査の方法 全国の温泉街が対象。温泉街らしい情緒があるかどうか、外湯の充実度、飲食店の多さ、歩いて回るのに適度な大きさかどうか、食べ歩きができるような名物があるかなどを基準にぶらぶらと歩いて楽しめる温泉街を順位を付けて選んでもらった。選者は以下の通り(敬称略、五十音順)。
井門隆夫(旅館コンサルタント)▽小林しのぶ(旅行ジャーナリスト)▽瀬戸川礼子(ジャーナリスト)▽坪田三千代(旅ライター)▽富本一幸(トラベルニュース編集長)▽野口冬人(旅行作家)▽野村菜津子(トラベルライター)▽本多美也子(旅行ジャーナリスト)▽村上真一(実業之日本社ブルーガイド国内版編集長)▽村田博之(「オールアバウト」名所・旧跡ガイド)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。