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歴史博士

宮内庁調査官が明かす「896の聖域」 天皇陵の真実

2010/11/27

日本には一般の立ち入りが許されない「聖域」が896ある。歴代天皇など皇室の祖先の墓として、宮内庁が管理する陵墓だ。大仙古墳(仁徳天皇陵、大阪府)をはじめ巨大古墳の多くが陵墓となっており、文化財保護法の適用外とされて公開や調査が厳しく制限されている。だが先日話題を集めた牽牛子塚古墳(奈良県)などの発掘成果や、百舌鳥・古市古墳群(大阪府)の世界遺産候補の暫定リスト入りを受け、「本当の被葬者は違うのでは」「史跡に指定し、文化財として取り扱うべきだ」との声は高まる一方。宮内庁はどう対応するのか、聖域の守り人である宮内庁の福尾正彦・陵墓調査官に現状と今後を聞いた。(聞き手は奈良支局長 竹内義治)

――昔は陵墓に立ち入る際、事前に魂を抜いて鳥と同様になる儀式を行ったそうだが。

世界遺産候補の暫定リスト入りが決まった百舌鳥・古市古墳群の1つ、大仙古墳(仁徳天皇陵)=大阪府堺市、文化庁提供・共同

「戦前は背中に羽根をつけ、カラスの格好をしたそうです。現在は立ち入る前に拝礼はしますが、儀式や仮装まではしません。ただ心の中では同様のことを行っています」

――陵墓は文化財保護法の対象外だ。どのような管理・保全を行っているのか。

「陵墓は皇室の祖先のお墓です。今も祭祀(さいし)が執り行われています。静安と尊厳を保つのが本義です。文化財としての側面もあり、研究者には学術的な目的による立ち入りや、保全・修理工事に伴う事前調査(発掘)の現場見学を認めています。調査成果は速やかに公表し、出土遺物は貸し出しもしています」

陵墓に指定されている主な巨大古墳
古墳名(陵墓名)所在地墳丘長
大仙古墳(仁徳天皇陵)大阪府堺市486m
誉田御廟山古墳(応神天皇陵)大阪府羽曳野市425m
上石津ミサンザイ古墳(履中天皇陵)大阪府堺市360m
見瀬丸山古墳(畝傍陵墓参考地)奈良県橿原市310m
渋谷向山古墳(景行天皇陵)奈良県天理市300m
箸墓古墳(倭迹迹日百襲媛命大市墓)奈良県桜井市280m
五社神古墳(神功皇后陵)奈良県奈良市275m

「考古学や土木など外部の専門家で構成する陵墓管理委員会を庁内に設け、保全や修理について詳細なアドバイスを受けているほか、文化財保護法が定める手続きに沿って管理しています。史跡の指定がなくても、保全と管理は宮内庁が十分役目を果たしています」

――陵墓が世界遺産候補の暫定リスト入りしたことを、どうとらえているのか。

「現在の管理体制が維持されるなら反対はしない、という立場です」

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