伊藤、加藤、斉藤…「○藤」さん誕生の謎編集委員 小林明

図2は、「○藤」さんという名字が出来上がった由来を示した地図である。

たとえば、伊勢(三重県)に領地を持っていた藤原氏は、伊勢の「伊」を取って、伊藤と名乗った。同様に、加賀(石川県)の「加」を取って加藤、肥後(熊本県)や備後(広島県)などの「後」を取って後藤、近江(滋賀県)の「近」を取って近藤、遠江(静岡県)の「遠」を取って遠藤、尾張(愛知県)の「尾」を取って尾藤という名字が誕生したらしい。

都道府県別に名字ランキング(明治安田生命保険調べ、2008年8月調査)を見ると、確かに、伊藤は三重県で第1位、岐阜県で第2位、愛知県で第3位となり、その歴史の通り、伊勢周辺に多いことが分かる。「平安時代、藤原北家で秀郷の子孫である尾藤基景が伊勢守となって伊勢に土着し、子孫が伊藤氏を称したのが祖のようです」。森岡さんはこう説明する。

加藤は、平安末期に藤原景通(道)が加賀介(かがのすけ)となって加藤氏を名乗ったのが始まり。やがて景通の子、景員(清)が伊勢に転じて、伊勢加藤氏の祖となり、それ以降、加藤氏は東海地方に広まったとされる。実際、都道府県別に見ると、岐阜県で第1位、愛知県で第2位、三重県で第5位と確かに東海地区に多いことが分かる。

後藤は、「肥後(熊本県)や備後(広島県)の『後』を取って名乗っていたことが、少なくとも文献などから確認できる」(森岡さん)という。このほか、越後(新潟県)、丹後(京都府)、豊後(大分県)、筑後(福岡県)の「後」を取って名乗った可能性なども取りざたされている。

ちなみに、全国で最も多い名字である佐藤は、地名に由来する場合だけでなく、職業に由来する場合もあるようだ。


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